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ル・マン/WEC ニュース

投稿日: 2022.03.15 16:23
更新日: 2022.03.19 21:08

【2022年WEC見どころ紹介】プジョーの参加&富士開催も楽しみなハイパーカー2年目シーズン

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ル・マン/WEC | 【2022年WEC見どころ紹介】プジョーの参加&富士開催も楽しみなハイパーカー2年目シーズン

 そんなハイパーカークラスのマシンは引き続き、モデルごとに最低重量と出力などが定められるBoP(バランス・オブ・パフォーマンス)によってパフォーマンスの調整を受ける

 開幕戦セブリングに向けては、トヨタGR010ハイブリッドが前年最終戦より30kg重い1070kgとされた一方、グリッケンハウス007 LMHは1030kgに。3車の中ではもっとも軽いアルピーヌA480は952kgだが、最終戦バーレーンからは22kgの重量増となった。

 1スティントあたりに使用できる最大エネルギー量は、トヨタが898MJ、グリッケンハウスが910MJ、アルピーヌは797MJだ。エンジン回転数に応じて定められる出力曲線上の最大値は、トヨタが506kW、グリッケンハウスが520kW、アルピーヌが430kWとなっており、ハイパーカークラス全体の出力が抑制される方向で調整されている。

 トヨタのみが使用できるハイブリッドパワーのアクティベートスピードは、ドライコンディション、ウエットコンディションにかかわらず190km/hに引き上げられた。

●2022年WEC開幕戦セブリング ハイパーカーBoP

車両 最低重量 最大エネルギー量 出力最大値
トヨタGR010ハイブリッド 1070kg(1040kg) 898MJ(909MJ) 506kW(520kW)
グリッケンハウス007 LMH 1030kg 910MJ 520kW
アルピーヌA480 ギブソン 952kg(930kg) 797MJ(816MJ) 430kW(454kW)

※()内は2021年最終戦バーレーンの値
※グリッケンハウスは2021年最終戦を欠場

グリッケンハウス・レーシングの708号車グリッケンハウス007 LMH
グリッケンハウス・レーシングの708号車グリッケンハウス007 LMH

 これに連動してLMP2クラスの車両のラップタイムをさらに遅くする調整がなされている。2年シーズン続けて性能が落とされる調整には8kW(約11PS)の削減をもたらす新しいエンジンマッピング、フロントのダイブ・プレーンの削除、65リッターの燃料タンク容量、ディフューザーの50mm短縮が含まれる。

 また、リヤウイングのフラップには10mmのガーニーフラップを追加し「空力バランスを補正」することも一連の調整に加えられた。エアロパッケージは引き続き、全ラウンドで“ル・マン・スタイル”のローダウンフォーム・トリムの使用が義務付けられている。

■平川亮がWEC再挑戦。最高峰カテゴリーで王座獲得目指す

 フルシーズンエントリーした35台に加え、撤退を表明したGドライブ・レーシングに代わってレース・バイ・レースでの出場となるアルガルベ・プロ・レーシングのオレカ07を加えた計36台が参戦する今季のWEC。日本からはシリーズ王者でありル・マン5連覇を狙うTOYOTA GAZOO Racingがエントリーしているが、既報のとおりドライバーラインアップが一部変更され、現役を退いた中嶋一貴TGR-E副会長に代わり、平川亮が8号車トヨタGR010ハイブリッドに乗り込むことになった。また、僚機7号車はラインアップに変更はないものの、小林可夢偉がドライバーとチーム代表を兼務する新体制となっている。

 このほか注目のエントリーを挙げると、昨年TOYOTA GAZOO Racing WRTで自身8度目のWRC世界ラリー選手権タイトルを獲得したセバスチャン・オジエが、LMP2チームのリシャール・ミル・レーシングに加入した。

 同クラスは今季、チーム・ペンスキーやプレマ・オーレン・チーム、ベクター・スポーツ、アルティメットという4つの新しいチームが加わったことで、シリーズ史上最大規模のエントリーを集め、その数は15台を数える。

チーム・ペンスキーの5号車オレカ07・ギブソン(左)とチーム・プロジェクト1の56号車ポルシェ911 RSR-19(右)
チーム・ペンスキーの5号車オレカ07・ギブソン(左)とチーム・プロジェクト1の56号車ポルシェ911 RSR-19(右)

 昨年はフェラーリとポルシェの一騎打ちとなったLMGTEプロクラスには、初めてシボレーがフル参戦を果たし、コルベット・レーシングが全戦で64号車シボレー・コルベットC8.Rを走らせる予定だ。全12台がエントリーしているLMGTEアマクラスには、日本籍のDステーション・レーシングが名を連ねており、星野敏と藤井誠暢の日本人コンビに若手のチャーリー・ファグを加えた布陣を組み、2年目の挑戦をスタートさせる。第3戦ル・マンでは木村武史がケッセル・レーシングから出場予定だ。

■2022年もトヨタ内でのタイトル争いとなるか

 世界選手権タイトルが懸かるハイパーカークラスでは、今季もトヨタがライバルたちから一歩抜け出すものと予想され、チャンピオンチームの7号車組と平川を迎えた8号車組によるタイトル争いが繰り広げられるものと思われる。

 もちろん、BoPの調整具合によってライバルチームが速さを見せる可能性もあるが、スピードと信頼性、さらにチーム力を組み合わせた総合力でトヨタを上回るかと言うと疑問が浮かぶ。

アルピーヌ・エルフ・チームの36号車アルピーヌA480・ギブソン
アルピーヌ・エルフ・チームの36号車アルピーヌA480・ギブソン

 一方、予想が難しいのがLMP2クラスだ。実力が拮抗している上位チーム、とくにWRTやJOTA、ユナイテッド・オートスポーツはどこか勝ってもおかしくない。また、実力派ドライバーを起用して殴り込みをかけるペンスキーやプレマ・オーレン・チームといった新チームが、いきなりシリーズチャンピオンをさらっていく可能性も大いに考えられる。

 GTEプロクラスは王者AFコルセに対し、昨年涙を飲んだポルシェGTチームが雪辱に燃えているはずであり、ふたたび熱いバトルが繰り広げられることだろう。ここにコルベットがどのような形で割り込んでくるのか注目したいところだ。

 フェラーリ、ポルシェ、アストンマーティンの3車種で争われるGTEアマクラスも混戦必至。チャンピオントリオのLMP2挑戦にともない、王者不在となる同クラスには今季、ニック・キャシディが“強豪”AFコルセ54号車フェラーリのメンバーに加わった。チャンピオン候補はこのイタリアチームと、GTE王者マルコ・ソーレンセンが加入したTFスポーツ、ポルシェユーザーのデンプシー・プロトン・レーシングなどが挙げられる。

コルベット・レーシングの64号車シボレー・コルベットC8.R
コルベット・レーシングの64号車シボレー・コルベットC8.R
JOTAの28号車オレカ07・ギブソン
JOTAの28号車オレカ07・ギブソン

●2022年WEC開幕戦セブリング1000マイル エントリーリスト

Pos. No. Class Team Car Driver Tyre
1 7 HYPERCAR トヨタ・ガズー・レーシング トヨタGR010ハイブリッド M.コンウェイ
小林可夢偉
J-M.ロペス
MI
2 8 HYPERCAR トヨタ・ガズー・レーシング トヨタGR010ハイブリッド S.ブエミ
B.ハートレー
平川亮
MI
3 36 HYPERCAR アルピーヌ・エルフ・チーム アルピーヌA480・ギブソン A.ネグラオ
N.ラピエール
M.バキシビエール
MI
4 708 HYPERCAR グリッケンハウス・レーシング グリッケンハウス007 LMH O.プラ
R.デュマ
R.ブリスコー
MI
5 1 LMP2 リシャール・ミル・レーシング・チーム オレカ07・ギブソン L.ワドゥ
S.オジエ
C.ミレッシ
GY
6 5 LMP2 チーム・ペンスキー オレカ07・ギブソン D.キャメロン
E.コラール
F.ナッセ
GY
7 9 LMP2 プレマ・オーレン・チーム オレカ07・ギブソン R.クビサ
L.デレトラズ
L.コロンボ
GY
8 10 LMP2 ベクター・スポーツ オレカ07・ギブソン N.ミューラー
R.カレン
M.ロッケンフェラー
GY
9 22 LMP2 ユナイテッド・オートスポーツUSA オレカ07・ギブソン P.ハンソン
F.アルバカーキ
W.オーウェン
GY
10 23 LMP2 ユナイテッド・オートスポーツUSA オレカ07・ギブソン P.ディ・レスタ
O.ジャービス
J.ピアソン
GY
11 28 LMP2 JOTA オレカ07・ギブソン O.ラスムッセン
E.ジョーンズ
J.アバディン
GY
12 31 LMP2 WRT オレカ07・ギブソン S.ゲラエル
R.フラインス
R.ラスト
GY
13 34 LMP2 インターユーロポル・コンペティション オレカ07・ギブソン J.スミエコウスキー
A.ブランドル
E.グティエレス
GY
14 35 LMP2 ProAm アルティメット オレカ07・ギブソン J-B.ライエ
M.ライエ
F.エリオ
GY
15 38 LMP2 JOTA オレカ07・ギブソン R.ゴンザレス
A.F.ダ・コスタ
W.スティーブンス
GY
16 41 LMP2 リアルチーム・バイ・WRT オレカ07・ギブソン R.アンドラーデ
F.ハプスブルク
N.ナト
GY
17 44 LMP2 ProAm ARCブラティスラバ オレカ07・ギブソン M.コノプカ
M.ベッシェ
T.ファン・デル・ヘルム
GY
18 45 LMP2 ProAm アルガルベ・プロ・レーシング オレカ07・ギブソン S.トーマス
J.アレン
R.ビンダー
GY
19 83 LMP2 ProAm AFコルセ オレカ07・ギブソン F.ペロード
N.ニールセン
A.ロベラ
GY
20 51 LMGTE Pro AFコルセ フェラーリ488 GTE Evo A.ピエール・グイディ
J.カラド
MI
21 52 LMGTE Pro AFコルセ フェラーリ488 GTE Evo M.モリーナ
A.フォコ
MI
22 64 LMGTE Pro コルベット・レーシング シボレー・コルベットC8.R T.ミルナー
N.タンディ
MI
23 91 LMGTE Pro ポルシェGTチーム ポルシェ911 RSR-19 G.ブルーニ
R.リエツ
MI
24 92 LMGTE Pro ポルシェGTチーム ポルシェ911 RSR-19 M.クリステンセン
K.エストーレ
MI
25 21 LMGTE Am AFコルセ フェラーリ488 GTE Evo S.マン
C.ウルリッヒ
T.バイランダー
MI
26 33 LMGTE Am TFスポーツ アストンマーティン・
バンテージAMR
B.キーティング
R.ラトー
M.ソーレンセン
MI
27 46 LMGTE Am チーム・プロジェクト1 ポルシェ911 RSR-19 M.カイローリ
M.ペダーセン
N.ルートウィラー
MI
28 54 LMGTE Am AFコルセ フェラーリ488 GTE Evo T.フロー
F.カステラッチ
N.キャシディ
MI
29 56 LMGTE Am チーム・プロジェクト1 ポルシェ911 RSR-19 B.イリービ
O.ミルロイ
B.バーニコート
MI
30 60 LMGTE Am アイアン・リンクス フェラーリ488 GTE Evo C.スキアボーニ
M.クレッソーニ
G.フィジケラ
MI
31 71 LMGTE Am スピリット・オブ・レース フェラーリ488 GTE Evo F.デゾトゥ
P.ラゲ
G.オーブリー
MI
32 77 LMGTE Am デンプシー・プロトン・レーシング ポルシェ911 RSR-19 C.リード
S.プリオール
H.ティンクネル
MI
33 85 LMGTE Am アイアン・デイムス フェラーリ488 GTE Evo R.フレイ
M.ガッティン
S.ボビー
MI
34 88 LMGTE Am デンプシー・プロトン・レーシング ポルシェ911 RSR-19 F.プアダッド
P.リンジー
J.アンドラウアー
MI
35 98 LMGTE Am ノースウエストAMR アストンマーティン・
バンテージAMR
P.ダラ・ラナ
D.ピタード
N.ティーム
MI
36 777 LMGTE Am Dステーション・レーシング アストンマーティン・
バンテージAMR
星野敏
藤井誠暢
C.ファグ
MI

ポルシェGTチームの92号車ポルシェ911 RSR-19
ポルシェGTチームの92号車ポルシェ911 RSR-19
手前から21号車フェラーリ488 GTE Evo、52号車フェラーリ488 GTE Evo、83号車オレカ07・ギブソン。いずれもAFコルセが走らせる車両だ
手前から21号車フェラーリ488 GTE Evo、52号車フェラーリ488 GTE Evo、83号車オレカ07・ギブソン。いずれもAFコルセが走らせる車両だ
Dステーション・レーシングの777号車アストンマーティン・バンテージAMR
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平川亮がラインアップに加わったTOYOTA GAZOO Racingの8号車トヨタGR010ハイブリッド
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