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ル・マン/WEC ニュース

投稿日: 2022.08.30 06:57
更新日: 2022.08.30 06:58

WEC富士は“リベンジ”の舞台。ル・マン優勝は「もう忘れた」平川亮の戸惑いと悔しさ

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ル・マン/WEC | WEC富士は“リベンジ”の舞台。ル・マン優勝は「もう忘れた」平川亮の戸惑いと悔しさ

 そんな難しい状況に身を置いたことで、さらなる“経験”を手にして富士へと向かう平川。8月下旬にはTGR-E(トヨタGAZOO Racing・ヨーロッパ)でのシミュレーターテストも予定している。

 平川自身は走り慣れた富士とはいえ、3人でドライビングを分担するWECではレースウイークの乗車時間も少ないため、「リズムを作る」ためにもシミュレーターテストは重要だという。もちろん、エンジニアリング側としては、セットアップなどの面でも事前に確認できることは多いようだ。

 気になるGR010ハイブリッドの富士でのポテンシャルについては、「まだBoPは決まっていませんが、ル・マン以外の他のサーキットと同じような感じだとは思います」と平川。フロントにハイブリッドシステムを搭載するGR010だが、BoPによってその作動可能速度は今季ここまで『190km/h以上』とされてきた。そのため、富士でも“四輪駆動”のフルポテンシャルを発揮できる場所は、あまり多くなさそうだという。

 ライバルとなるプジョー、アルピーヌとは、富士でも接戦となることを予想している。

「モンツァでもタイムは拮抗していましたし、富士ですごい差が出るとは考えにくい。僕らができるのは、やっぱりレースで安定して速く走ること。それが一番だと思います」

「あと、モンツァで感じたのですが、僕らのクルマはサイズが大きいので、シケインとかがすごく狭く感じるんですよ。だから富士でも、ダンロップコーナーなどはすごく難しいだろうと思っていて、そういうところ(をうまく走れるかどうか)で差が出そうな気がします。しっかりといいバランスのクルマを作っていって、とにかく決勝で速く・安定して走れるようにしたいですね」

WEC第4戦モンツァでは、プジョー9X8もデビューを果たし、トヨタにとってはライバルが増えた形に
WEC第4戦モンツァでは、プジョー9X8もデビューを果たし、トヨタにとってはライバルが増えた形に

 ホームコースということで、観る側としては平川が8号車の予選アタック担当になることに期待も膨らむ。

 本人も「担当できるように頑張りたい」と前向きな姿勢を見せるが、そのためにはニュータイヤでのアタック経験を積む必要がある。通常トヨタは、予選前に3回行われるフリープラクティスそれぞれの冒頭においてニュータイヤでの予選シミュレーションを行うが、僅差の予選を制するためには、3回の練習はあまりにも少ないように思える。

 それでも、もしアタックを命ぜられたら「覚悟を決めなきゃいけないですね」と平川は表情を引き締める。タイトル争いも佳境を迎える状況のなか、「予選アタックをするとなると、レースウイークのプレッシャーは何倍にもなる」。果たして平川のアタックはあるのか。ここもひとつ、富士で注目したいポイントだ。

8号車はこれまでのところ、ブレンドン・ハートレーが予選アタックを担当。富士で平川の“初アタック”は実現するか
8号車はこれまでのところ、ブレンドン・ハートレーが予選アタックを担当。富士で平川の“初アタック”は実現するか

■「勝ちにいくしかない」富士決戦

 自身の凱旋レースとなるWEC富士。サーキットに来場する観客には、どんなところ見て欲しいのだろうか。平川は今季のWECの見どころとして、『クルマの個性』を挙げてくれた。

「たとえばアルピーヌはクルマが小さくて、(GR010と)横に並んだら差が歴然だと思いますし、彼らはダウンフォースが多いのでセクター2が速いと思います。その分、ストレートは遅い。プジョーもそれに近いようなイメージで、僕らよりはダウンフォースが少し多そうです。その影響でコーナーの挙動も違うはずですし、ストレートのスピードも違うはず。モンツァと同じように、富士でももちろんストレートでのバトルはあると思います。4カテゴリーがいろいろなスピードで走るところはぜひ見て欲しいですね。あと、狭いコーナーで、大きいクルマの僕らが苦労しているところも(笑)」

「初めてGR010ハイブリッドを日本で走らせることは、僕自身もすごく楽しみにしています。また、自分が世界に出て、世界選手権で戦っているところも、日本の皆さんにぜひ見に来て欲しいです」

「僕ら8号車としては優勝して、ランキング首位に対して差を詰めなければいけません。もう勝ちにいくしかないと思っていますし、チームとしても地元でのワン・ツーをしっかり獲れるよう、準備をしていきたいと思っています」

 富士では、自身初となる“世界タイトル”に向けて奮闘する平川の姿が見られるに違いない。

トヨタ8号車の平川亮とブレンドン・ハートレー
トヨタ8号車の平川亮とブレンドン・ハートレー


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