クラスポールからスタートしたのは、ユナイテッド・オートスポーツ23号車のトム・ブロンクビスト。しかし4周目にセーフティカーが導入されたときは、プレマ・レーシング63号車のドリアーヌ・パンが首位へと浮上、ユナイテッド23号車、チームWRT31号車と続くトップ3のオーダーとなっていたが、リスタートでブロンクビストが首位を奪い返す。

 3スティント目に入ると、23号車は後続に40秒以上の大きなギャップを築き、2番手にはインターユーロポル・コンペティションの34号車が浮上するが、3番手以下はプレマ63号車、WRT31号車、WRT41号車、ユナイテッド22号車、プレマ9号車、JOTA28号車らによる混戦模様となる。

 2時間経過を前にしたセーフティカーにより23号車のリードは霧散するが、再開後もブロンクビストは首位をキープし、2時間が経過した直後に自身のスティントを終えた。

 各車が3回目のストップを終えると、WRT31号車のロビン・フラインスが首位に浮上するが、その背後にはJOTA28号車のピエトロ・フィッティパルディがピタリとつける展開に。

 3時間経過目前、31号車のハプスブルクが41号車デレトラズをパスし、実質の首位に浮上するが、その後JOTA28号車のオリバー・ラスムッセンが首位を奪う。

 さらに5時間目のセーフティカー解除後、ケメルストレートエンドでプレマ63号車がトップに立ち、背後に31号車を従える格好に。残り1時間10分の時点でもトップ6が11秒以内にひしめき、最終盤の激戦を予感させた。

 残り38分、最終バスストップシケイン進入で41号車ルイ・デレトラズが31号車フラインスをオーバーテイク。この2台の背後に迫り、実質上位争いに加わっていたプレマの63号車には、SC手順違反により3分のストップ&ゴーペナルティが発出され、戦線離脱となってしまった。

 残り32分、暫定首位のプレマ9号車アンドレア・カルダレッリが最後のピットへ。3番手へとポジションを下げる。これでユナイテッドの23号車が暫定トップに立ち、ここに41号車のデレトラズがコンマ差にまで追いつくと、残り12分で2台は同時にピットインする。

 ここで41号車が先にピットを離れ、逆転に成功。2台はともに9号車の前でコースへと復帰すると、デレトラズは数秒のギャップを作り、安全圏へ逃げ切った。

 しかしその後方では、9号車カルダレッリはタイヤが厳しくなったか最終盤にペースが落ち、背後から迫ったインターユーロポル・コンペティションの34号車に3位の座を明け渡してしまった。

 カルダレッリはクラス4位でフィニッシュ。5位にユナイテッド22号車、6位にはWRT31号車が入っている。

LMP2クラスを制したチームWRTの41号車
LMP2クラスを制したチームWRTの41号車
ペナルティにより後退したプレマ・レーシングの63号車
ペナルティにより後退したプレマ・レーシングの63号車

■LMGTEアマ:リル・ワドゥが女性初のクラスウイナーに

 日本勢では、クラス8番手スタートの777号車アストンマーティン・バンテージAMRでは藤井が、ケッセル・レーシングの57号車はクラス9番手から木村武史がスタートを担当したLMGTEアマクラス。

 4周目のセーフティカーまでに、コルベット・レーシング33号車シボレー・コルベットC8.Rのベン・キーティングがクラス首位、その背後の2番手には藤井の777号車がジャンプアップを果たしてきた。木村もこの時点で5番手へとポジションを上げている。

 藤井はさらにリスタート直後にキーティングをパスし、クラストップに浮上。開始1時間のところで藤井がピットへ入ると、暫定首位にはアイアン・デイムスの85号車ポルシェ、サラ・ボビーがポジションを上げ、2番手にはポールポジションからスタートしたORT・バイ・TFの25号車アストンマーティンがつける展開となった。

 777号車は2スティント目も藤井が走行を続け、ふたたびポジションを回復。ボビーをパスし、自力でクラス首位を奪い返した。

 3号車キャデラックのクラッシュによりセーフティカーが導入されると、いくつかのチームが5秒間の燃料補給のみが許されるエマージェンシーストップを行った。

 再開後、首位を走る藤井にまさかのストップ&ゴー・ペナルティが下る。ボビーを1コーナー立ち上がりでパスする際に、接触したことに対してのペナルティとなった。

 このあと、3時間経過時点では、リシャール・ミル・AFコルセの83号車フェラーリ488 GTE Evo、2番手にはプロトン・コンペティションの88号車ポルシェ911 RSR-19がつけ、3時間30分過ぎのセーフティカーでは3番手にアイアン・デイムス85号車が浮上。

 その後は2番手に33号車キャデラックが再浮上を果たしてくる。レース終盤も83号車がクラス首位を堅持する一方、残り10分を切って2番手コルベットのニッキー・キャツバーグに25号車アストンマーティンのチャーリー・イーストウッドが接近。最終ラップまでテール・トゥ・ノーズの白熱の争いとなるが、ポジションは変わらず。

 この結果、83号車フェラーリがクラス優勝、コルベットが2位、3位に25号車アストンマーティンとなった。83号車のワドゥはこれにより、WEC史上初となる、女性クラスウイナーに輝いた。

 なお、クラス9位でフィニッシュしたDステーション・レーシングの777号車アストンマーティンは、キャスパー・スティーブンソンのドライブタイムが最低運転時間の1時間45分に届かず、審査委員会の裁定により不足分の1分17秒549が競技結果に加算された結果、正式リザルトでは10位へと順位を下げている。

 2023年のWECはこれで3レースが終了。次戦はいよいよフランス、ル・マンで行われる24時間レース。第1回の開催から数え100周年の記念イベントは、大きな盛り上がりを見せることが期待される。

LMGTEアマクラスを制したリシャール・ミル・AFコルセ83号車フェラーリ488 GTE Evoの(左から)アレッシオ・ロベラ、リル・ワドゥ、ルイス・ペレス・コンパンク
LMGTEアマクラスを制したリシャール・ミル・AFコルセ83号車フェラーリ488 GTE Evoの(左から)アレッシオ・ロベラ、リル・ワドゥ、ルイス・ペレス・コンパンク
木村武史がスタートドライバーを務めたケッセル・レーシングの57号車フェラーリ488 GTE Evo
木村武史がスタートドライバーを務めたケッセル・レーシングの57号車フェラーリ488 GTE Evo
Dステーション・レーシングの777号車アストンマーティン・バンテージAMR
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