ホンダ陣営トップの総合2番手タイムを記録した山本尚貴(TEAM 無限)は、ソフトタイヤについて「バランスが大きく変わることなく、単純にグリップレベルが上がって、タイムが大きく上がったというのは確認ができました」と述べ、こちらも好印象を持った様子だ。
「今回のデータが次のもてぎ戦に反映されると思いますが、(タイム)結果以上の収穫がありました」
また、「通常のレースをみていても1秒違うだけで追い抜くのはなかなか難しいんですけど、タイヤのグリップレベルで1秒違うというのは、今まで経験がありません。そう考えると、追い抜きは多少なりとも、これまで以上にしやすいかなと思います」と、年々難しくなりつつあるオーバーテイク増加の可能性についても触れている。
ソフトタイヤのポテンシャル自体も見どころだが、このソフトタイヤを含めた新品タイヤが、予選でどう使われるのかも気になるところ。これまではQ1~Q3で各1セットずつ新品タイヤを投入して勝負するというのが定石の流れだった。しかし、もてぎではタイムの出るソフトタイヤは2セットしか用意されず、すべての予選セッションを新品タイヤで走るには、どこかで必ずミディアムを投入する必要がある。
これについては、上述のオリベイラも「現状ではなんとも言えないが、おそらくソフト、ソフト、ミディアムという使い方になるだろう」とし、大半のドライバーも「Q1からソフトタイヤを使わないと、ノックアウトされてしまう」という見解を示している。
これらの意見を踏まえると、仮にQ1をミディアムでも通過できるマシンを用意することができれば、ポールポジションのかかるQ3で新品ソフトを投入できるチャンスが生まれてくる。レースを考えれば、ポールポジションは誰もが欲しがるものだが、それ以上に重要なのは、ポールシッターにはポイントランキングで1ポイントが加算されるという点だ。
今季は、選手権上位を争うドライバーがランキングで接近しており、この1ポイントが終盤に効いてくる可能性は十分にある。
こういった部分も含めて、今年のもてぎ戦は見どころが豊富であることは間違いない。もてぎ戦前に、このソフトタイヤを試すことができるのは今日1日のみということもあり、各チームとも手探り状態で、まだまだ試しきれていない部分がある様子。次戦はこれまで以上に、予選から白熱した展開となりそうだ。