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投稿日: 2021.11.01 22:52

横浜ゴム 2021スーパーフォーミュラ第7戦鈴鹿 レースレポート

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スーパーフォーミュラ | 横浜ゴム 2021スーパーフォーミュラ第7戦鈴鹿 レースレポート

【全日本スーパーフォーミュラ選手権 第7戦/鈴鹿】福住仁嶺選手が第2戦の借りを返し鈴鹿初勝利、TEAM IMPULが11年ぶりにチームタイトルを獲得!!

 2021年の全日本スーパーフォーミュラ選手権を締めくくる最終戦が、鈴鹿サーキットで開催。スーパーフォーミュラで初ポールポジションを獲った松下信治選手(B-Max Racing Team)が痛恨のスタート違反で後退したのち、アンダーカット作戦を成功させた福住仁嶺選手(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)がトップチェッカーをくぐり、第2戦では成しえなかった鈴鹿初勝利を飾った。

 シーズン最終戦の週末は、秋らしい爽やかな空模様でスタート。すでに前戦もてぎ大会でシリーズチャンピオンは決定したものの、チームチャンピオンとルーキー・オブ・ザ・イヤーの2つの称号は最終戦までもつれ込むことに。

 チームチャンピオンに関しては、carenex TEAM IMPULがトップに着け、2番手にTEAM MUGEN、3番手にDOCOMO TEAM DANDELION RACINGというトップ3が接戦。ただし、TEAM MUGENは野尻智紀選手1人でのエントリーのため、2台体制を採るIMPULとDOCOMOの一騎打ちが予想された。一方のルーキー・オブ・ザ・イヤーは阪口晴南選手(P.MU/CERUMO・INGING)がトップを走り、それを大津弘樹選手(Red Bull MUGEN Team Goh)が僅差で追う展開。宮田莉朋選手(Kuo VANTELIN TEAM TOM’S)も、逆転の可能性を残していた。

 10月30日(土)の公式予選。まずQ1では、A組で宮田選手が大津選手を破ってトップタイムを奪い、存在感をアピールすると、B組では大湯都史樹選手(TCS NAKAJIMA RACING)が宮田選手を上回るタイムでトップ通過を果たすなど、若手ドライバーが勢いを見せる。

 続くQ2でも宮田選手、大湯選手がそれぞれトップタイムをマーク。大津選手もQ3へ駒を進めるが、阪口選手は僅かに届かず、ここで予選敗退に。またIMPULの関口雄飛選手、平川選手もQ2突破が叶わず。この2台を追いかけるDOCOMOの福住選手、牧野任祐選手がQ3進出を決めた。

 いよいよ鈴鹿の最速ドライバーが決定するQ3。ここまで速さを見せつけている宮田選手と大湯選手に注目が集まる中、渾身のアタックでトップタイムを奪って見せたのは松下選手だった。午前中のフリー走行は14番手と振るわなかった松下選手だが、そこから目覚ましいリカバリーで、Q1をB組の4番手で通過すると、Q2は自己ベストタイムを0.8秒削って2番手通過。

 そしてこのQ3でさらにペースを上げ、2番手の大湯選手に対し0.2秒の差をつけて堂々のトップタイムをマークした。2018年にスーパーフォーミュラデビューを飾っている松下選手にとって、待望の初ポールポジション。2番手の大湯選手に続いたのは福住選手と牧野選手で、逆転チームタイトルの獲得に向けて弾みをつける形となった。

松下信治(B-Max Racing Team)
松下信治(B-Max Racing Team)

 一夜明けた決勝日の10月31日(日)は、一転して雨模様から一日がスタート。午前中のフリー走行はウェットコンディションのもとで行われたが、その後天候が回復。決勝レース序盤にわずかに弱い雨が再び降ってきたものの、コースコンディションに大きな影響はなく、全車がスリックタイヤで熱い戦いを繰り広げたのだった。

 14時にフォーメーションラップが始まり、いよいよ決勝レースがスタート。1コーナーをトップで通過したのは松下選手で、2番手の大湯選手がそれを追いかける。3番手には、ロケットスタートでポジションアップしてきた野尻選手がつけ、さらにその後ろには大津選手がピタリとはりつき、福住選手は5番手に後退してしまった。

 2周目には、大湯選手と野尻選手の2番手争いがヒートアップ。ホームストレートで野尻選手がオーバーテイクシステム(OTS)を使って大湯選手に並びかけると、そこからホイール・トゥ・ホイールの緊迫したバトルが続く。S字コーナーまで続いたバトルは、わずかに接触したことから大湯選手がバランスを崩しコースオフ。これで野尻選手が2番手に上がり、大湯選手は大きくポジションを落とすことに。その後、この接触に関して野尻選手に対し決勝レースのタイム加算ペナルティが科されることになった。

 2番手に上がった野尻選手を追いかけるのは大津選手だったが、3周目の1コーナーで福住選手が豪快なオーバーテイクで逆転すると、抜群のスタートで福住選手の背後までポジションアップしていた平川選手も大津選手を攻略していった。

 そんな背後の争いをよそに、一人快調にトップを走行していた松下選手だったが、4周目に入ったところで何とペナルティボードが提示される。レーススタート直前、わずかにタイヤが転がってしまったことでジャンプスタートの裁定を下されたのだ。5周目を終えるところで、松下選手はペナルティ消化のためピットロードへ。歓喜のポールポジション獲得から待望の初優勝へと順調な走りを見せていた松下選手だったが、これでトップ争いから外れることとなった。

 代わってトップに立ったのは野尻選手。追いかける福住選手は11周を終えるところで先にタイヤ交換を行いアンダーカット作戦に出る。チームも素早い作業でマシンを送り出し、福住選手はタイヤ交換作業を終えた組の中では先頭で後半スティントをスタートさせた。これを見た野尻選手は翌周ピットへ。こちらもチームが無駄のない作業でタイヤ交換を済ませピットアウト。野尻選手は福住選手の前でコース復帰することに成功する。しかし、すでにタイヤのウォームアップを終えた福住選手がOTSを点滅させながら猛チャージ。逆バンクで野尻選手をとらえ、オーバーテイク。さらに、14周を終えてタイヤ交換を行った平川選手も直後の2コーナーでかわし、福住選手は見た目上でもじわじわと順位を上げていった。

 19周目に国本雄資選手(KCMG)がピットに向かい、ステイアウトしているのはただ一人、関口選手を残すのみとなった。関口選手はすでにタイヤ交換を済ませたほかのドライバーに引けを取らないタイムを連発して後続とのギャップを広げる。福住選手とのタイム差は約19秒で、逆転トップに立つのは難しい状況だったが、チームタイトル獲得のためには牧野選手よりも前に出ることが必須。

 関口選手は27周まで前半スティントを引っ張りピットに入ると、大津選手の前、4番手でコースに復帰した。これなら2点差でチームタイトルを獲得できる位置だが、ここで大津選手が猛チャージをかけてくる。既にOTSを使い果たしパワーアップができない関口選手に対し、大津選手はOTSを使ってシケインで並びかけてきたが、関口選手も渾身のブレーキングでポジションを死守。これでアウトラップをしのぎ切った関口選手は、その後大津選手との差を広げていった。

 関口選手のピットインでついに名実ともにトップに浮上した福住選手は、そのまま3周を走り切りトップチェッカー。第2戦で果たせなかった鈴鹿での初勝利を最終戦で決めて見せた。平川選手は悔しい2位となったが、4位で踏ん張った関口選手と共にチームタイトルを獲得。野尻選手が3位となった。また、5位に入った大津選手がルーキー・オブ・ザ・イヤーを獲得した。

2周目に接戦を繰り広げた大湯都史樹(TCS NAKAJIMA RACING)と野尻智紀(TEAM MUGEN)
2周目に接戦を繰り広げた大湯都史樹(TCS NAKAJIMA RACING)と野尻智紀(TEAM MUGEN)
福住仁嶺(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)
福住仁嶺(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)
平川亮(carenex TEAM IMPUL)
平川亮(carenex TEAM IMPUL)
2021年スーパーフォーミュラ第7戦鈴鹿 表彰台
2021年スーパーフォーミュラ第7戦鈴鹿 表彰台
関口雄飛、星野一義監督、平川亮(carenex TEAM IMPUL)
関口雄飛、星野一義監督、平川亮(carenex TEAM IMPUL)
大津弘樹(Red Bull MUGEN Team Goh)
大津弘樹(Red Bull MUGEN Team Goh)

■福住仁嶺[DOCOMO TEAM DANDELION RACING]
【今回の成績:優勝】

「開幕戦で表彰台に立った後、この鈴鹿での第2戦をリタイアし非常に悔しい思いをしていました。その後、SUGOで優勝したものの、もてぎ2連戦ではポイントも獲得できず落ち込んでいたので、やっと鈴鹿でリベンジを果たすことができて本当にうれしいです。鈴鹿での初優勝なので、自分にとっても価値のある勝利だと思っています。来シーズンに向けて、今自分に必要なのはドライバーとしての強さや、自分自身をどう信じ切れるかというところ。さらに上を目指して、頑張っていきたいと思います」

■高口紀貴 [横浜ゴム MST 開発部 技術開発2グループ]
「今シーズン2度目の鈴鹿での大会となりましたが、タイヤへの負荷が高いサーキットですので、今回は決勝レースのスタートを、それまでの走行履歴がないタイヤ(新品タイヤ)でスタートすること、またそのタイヤの空気圧管理に関しても、これまでの方法から少し変更をしました」

「これにより、タイヤの面では今まで以上にイコールコンディションになったことで、ドライバーやチーム戦略の違いが表れ、随所で素晴らしい戦いが見られました。何が何でもレースを邪魔することのないようにと考えてやってきたので、アクシデントなく全車がチェッカーフラッグを受けましたが、こういった対策の効果もあったのではと感じています」

「来季に向けては、特に大幅な仕様変更は考えていません。その一方で、ドライバーやチームの戦いをより細かいレベルで支えられるよう、管理方法だけでなくタイヤを作るところから見直し、タイヤの製造精度の向上を考えています。来シーズンも、さらにレベルの高い戦いをドライバーたちが展開できるよう、引き続きサポートをしていきたいと思っています」

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