S-GT2024 rd3 SUZUKA Final
LMcorsa REPORT
#60 Syntium LMcorsa GR Supra GT
15番手からスタートした今シーズン2回目の3時間レースはドライバー、チームもミスなく走り切り10位でポイントを獲得
<気象データ>
気温:24℃、路面温度:31℃(決勝レーススタート時)
予選日となった6月1日(土)は、強い日差しの中で実施されたAUTOBACS スーパーGT第3戦『SUZUKA GT 3Hours RACE』だったが、決勝日の2日(日)は朝から小雨が降るなど見通しづらい天候となった。
天気予報でも降雨が予想されていたが鈴鹿サーキットには朝から多くのスーパーGTファンが駆け付け、2万5000人の観客が午前中からサポートレースやピットウィークなどを楽しんだ。
今季のスーパーGTは、従来から採用される300kmとそこから延長した350km、そして3時間のタイムレースとなる3つのフォーマットの決勝レースによって競われていて、第3戦はフォーマットの中で最長となる3時間が用いられる。
各レースでは細かい規定があり、今回は使用できるスリックタイヤのセット数が6セット、決勝レースは2回の給油をともなうピットストップが義務付けられていて、最初のピットタイミングは5周目以降となっている。
前述のように午前中には併催カテゴリーの決勝レースやピットウォークなどが実施され、予定通りの12時から決勝レース前のウォームアップが始まった。午前中から小雨が降るタイミングはあったが、路面が濡れるほどではなかった。ただ、ウォームアップ前に雨雲がサーキットを通り抜けたため、コース上はウエットコンディションとなる。そのため、ウォームアップはレインタイヤが履けるウエット宣言が発出された。
レインタイヤを履いたSyntium LMcorsa GR Supra GTには吉本選手が乗り込み、2周を走行。多くのマシンがコースを走行したため路面が乾いていき、チームは吉本選手をピットに戻しとスリックタイヤに履き替えた。20分のウォームアップだが、最後はGT300クラスの27台中3番手となる2分4秒台をマークし、3時間の決勝レースに臨んだ。
ウォームアップの後にはスタート進行が始まり、決勝レースは13時30分に三重県警の白バイとパトロールカーの先導によってパレードラップが開始した。天気予報では3時間の決勝レース中にも降雨が予想され、スタートは全車がスリックタイヤだったもののチームごとの戦略が勝敗をわける可能性もあった。
スタートドライバーを務めた吉本選手は、オープニングラップに1台をパスして14番手に浮上。2周目には自己ベストタイムとなった2分2秒685をマークし、先行するマシンをテールトゥノーズで追った。GR Supra GTは単独走行だとペース良く走れるが、GT3との混走だと得意なコーナリングスピードが活かせない。そのため、先行車を追うもののパッシングにはいたらず、9周目までポジションキープが続いた。
10周目のシケインでは、ポジションを落していた5号車のMC86に並び掛けたが、走行ラインを被せられて接触を喫する。マシンに損傷はなかったが、このタイミングで2台に抜かれて16番手に後退。吉本選手は挽回を図るためにペースを上げようとしたが、タイヤのグリップダウンもあり順位を上げられない。先行車に詰まっていたため、チームは20周目に1回目のピットインを指示する。
チームは敏速に4本のタイヤ交換と給油を行い、ドライバーは吉本選手のままコースに復帰する。GT300車両のなかでは早めのピットインだったため、26番手まで順位を落した。それでもライバル車のいないスペースで、連続して好タイムをマーク。全車が1回目のピットインを終えた34周目には11番手まで浮上していた。38周目にはGT500クラスのマシンが接触したことによりFCY(フルコースイエロー)が導入される。
翌周にはリスタートし、吉本選手はポイント圏内を目指したバトルを繰り広げる。42周目にはストレートスピードに勝る96号車のRC F GT3に抜かれてしまうが、44周目には11番手に後退してきた20号車のGR86をパス。49周目には義務付けられていた2回目のピットストップを行うマシンが出始める。チームは51周目にピットインの判断をし、ドライバーを河野選手に交代するとともに給油と4本のタイヤ交換を実施した。
15番手からのスタートだったが、吉本選手は2スティントをミスなく走りチームの戦略も奏功し、ポイント圏内まで浮上した。バトンを受けた河野選手は17番手でコースに復帰すると、徐々にポジションを回復していく。55周目には13番手、59周目には10番手、65周目には9番手までポジションを上げる。ただ、66周目には後方から追い上げてきた96号車に再びコース上で抜かれて10番手となる。
河野選手のスティントは、路面温度が下がった影響なのかタイヤのトレッド面にゴミが付着するピックアップに悩まされる。走らせ方やコクピット内で操作できるセッティングツールを駆使するものの、ピックアップは取れずペースは落ちてしまう。それでも後続とのギャップはあったため、84周目に10位でチェッカーを受けた。
昨シーズンからパフォーマンスを発揮することができず苦戦が続き、ポイント獲得は7戦ぶりとなった。今戦では持ち込みのセットアップを大幅に変えるなど、色々な努力が積み重なり10位という結果を得られた。決して満足できる内容ではないが、次戦以降の明るい兆しが見える決勝レースとなった。
飯田章監督
「決勝レースで追い上げていくのはマシン的にきついと感じていたので、10位という結果は予選の順位を考えると上出来です。ただ、トップとは1周の差を付けられていますし、まだまだ改善するところは多いです。それでも、苦戦が続いていたなかで1ポイントを獲れたのは収穫でした。タイヤ交換や給油のピットワークや戦略も含めて、チーム力を存分に発揮できたと思います。予選ではミスもあったので、次戦以降はプロフェッショナルな仕事をして、上位に入れるようなレースを行なっていきたいです」
吉本大樹選手
「決勝レースはスタートから2スティントを連続で走ったのですが、コース上ではなかなか抜くチャンスがなく、アンダーカットが功を奏してポジションを上げられました。エンジニアとチームの冷静な判断と、ピット作業も非常に正確でした。ただ、私のスティント後半や河野選手のスティントではペースダウンがあり課題は多いので、次戦までのインターバルで解決していきたいです。今回はGT3車両ですが、同じダンロップタイヤを履くマシンが優勝したのが明るい材料です。これまでの苦労が報われるように、チームとしても引き続き努力を続けていきます」
河野駿佑選手
「決勝レースは最後の3スティント目で走ったのですが、後方から迫ってきた96号車とのバトル以外はポジションのキープに徹しました。コンディションの影響なのかタイヤのピックアップが酷く、コクピットからできる限りのことはやりましたが難しい状況でした。結果としては、ドライバーもチームもミスなく長丁場のレースを走り切り、大事な1ポイントを獲れました。GR Supra GTはコース上でパッシングするのが難しいため、やはり予選順位は大事です。今回はミスがあったので、次戦ではレースウイークを通して強いレースを見せたいです」