
加納選手がコースに戻った時の見かけ上の順位は18位、加納選手はこれまであまり経験のない4輪NEWタイヤでの走り出しにもかかわらず、好調な走行を開始。安定したラップタイムでスティント後半には14位までポジションを上げていた。ところがチームがドライバー交代を告げるピットサインを出そうとした65Lap目、500クラスのマシンがアドバンコーナー入り口でタイヤをバーストさせて大破、パーツが散乱したためにSC(セーフティーカー)が導入されるというハプニングが起きる。
今シーズンから採用されたルールによりピットレーンがクローズドになり、全車が隊列を組んで5Lapほど周回、ここまでのマージンがクリアになった。70Lap目でSC解除と同時にようやくピットレーンがオープンとなり、チームはすぐさまマシンをピットインさせ、待ちかねていた安岡選手が加納選手からステアリングを委ねられた。これまでのArnage Racingのセオリーからいくと、このままタイヤ交換せず、最短のピット作業でマシンをコースに戻したいところだ。しかし手堅く完走を狙いたいArnage Racingは、左右のリアタイヤを交換、安岡選手が最終スティントの走行を開始した。16位でコースに戻った安岡選手は、すぐに凜太郎選手と加納選手が築いた好ポジションにマシンを戻し、さらに89Lap目にひとつポジションを上げて13位に浮上した。
レースはいよいよ終盤に入り、気温がだんだん下がってくる中で、路面とタイヤの状態がぴたりと合ったか、安岡選手は1分41秒台前半のラップタイムを連発、82Lap目に今大会のベストラップをレコードする素晴らしい走りを見せる。さらなるポジションアップの機会をうかがう安岡選手の前方を走るのはMercedes Benz勢の新型マシン111号車。安岡選手はプッシュを重ねて次第に肉薄していき、ついに残り5Lapのところで111号車をオーバーテイク、12位に浮上した。後方からは2号車の名手、加藤寛規選手が猛追をかけてくる。しかし、安岡選手は最後まで1分41秒台前半の好ペースを落とすことなく逃げ切り、100Lap目12位でチェッカーを受けた。
Arnage Racingは、惜しくもポイント獲得には一歩及ばなかった。しかし、並みいる新型車両の中で3人のドライバーがそれぞれの持ち味を生かした好走を積み重ねたおかげで、スタート時の25位から大きくジャンプアップ。12位でフィニッシュする素晴らしい成績で、500kmの長いレースを走りぬくことができた。
(なお、この結果は6台出走している新旧Mercedes勢の中では1位。)
P1 #10 B-MAX NDDP GT-R 星野一樹 / ヤン・マーデンボロー
P2 #55 ARTA BMW M6 GT3 高木真一 / 小林崇志
P3 #25 VivaC 86 MC 土屋武士 / 松井孝允
P12 #50 ODYSSEY SLS 安岡秀徒 / 久保凜太郎 / 加納政樹
