結果はまさにそのとおりで、リミッター(ギクシャクはなく、驚くほどスムーズ!)から解放されるピットレーン出口からは、アクセル全開! ブレーキどんっ! の繰り返し。2番目の乗車だったためタイヤもいい感じで温まっていたようで、Aコーナーを抜けたあたりで楽しさが若干の恐怖に変わり、100R突入時は改めていろいろな意味でレーシングドライバーを尊敬した。
とはいえ、何事かがあったわけではなく、素人目には“オン・ザ・レール”感覚。リヤがズリズリくるような挙動が分かるものかと思いきや、最新のトラクションコントロールはものの見事にクルマを前へ前へと進めていく。
ちなみに柳田選手、手持ち無沙汰だったのかトラコンのスイッチをカチカチといじりだした。マシンを降りてから聞いてみたところ「1クリックだけだとそれほど大きな違いはなかったかな。ABSのスイッチも試したけど、こっちも極端に変わることがなかったから今の走行では触らなかった」とのこと。
もちろん車種にもよるのだろうが、プロドライバーが「それほど大きく変化しない」と語るまでに進化したドライバーエイドには正直閉口した。自らが感じ取れないことで、現代レーシングカーのすごさを感じるという矛盾。試乗後の頭の中はしばらく混乱していた。
ひとつ面白かったのが、アンダーステアが出た際のダダダッという音と振動。自らの運転で強いアンダーを出したことがある人は分かると思うが、クルマからの「これ以上絶対に曲がりません!」のサインが明確に感じられたのだ。
AコーナーやBコーナー入り口ではつねに出た挙動なので、ABS任せで突っ込み、コーナリング初期もブレーキングに使う走らせ方だったのだろう。この点を柳田選手に確認しなかったことを、いまさらながらに悔やんでいる。結局、市販車ベースのレーシングマシンであることを実感できたのはこの点だけだった。
ちなみに、ヘアピンの立ち上がりで軽快にオーバーテイクしていったGT500マシンに、Bコーナーの入り口では思いのほか急接近。左足とABSの対決は、今回の条件下では意外といい勝負に思えた。
