■カスタマーからのリクエストを改善
19年からの新GT3 Rの特徴は数多い。エンジンはエキゾーストの可変バルブタイミング機構を備え、ドライバビリティを向上。燃焼効率も高められた。また、『Eクラッチ』というボタンによって発進が非常に簡単になっている。
「油圧装置を備えており、クラッチはボタンを操作して繋ぐことになる。非常に操作は簡単だ」とバリザー。モータースポーツにおいてこういったシステムの耐久性は問題がないのだろうか? という質問をすると、「使用するのはわずか数秒だからね。ポルシェとして採用するのは初めてだが、他メーカーも使っているし、その有用性は証明されている。GT500やDTMでも採用されているものだよ」と教えてくれた。
また、ポルシェはそのレイアウトから、これまで給油マンがボンネットに登ってリグを刺していたが、その光景は今季までだ。給油口は左右を向きふたつ備えられ、片方だけを露出することでコースの右向き、左向きに対応する。
これらの内容からも分かるとおり、新GT3 Rはカスタマーチームやドライバーからのリクエストが大いに反映されていることが伝わってくる。これまでのGT3 Rに装着されていたヘッドライトは光量も少なく、今季ドバイ24時間に参加したD’station Racingのドライバーたちからは「見えない」という意見も出ていた。
しかし新たなLEDヘッドライト(すでにニュル等での使用を想定したキットとしては存在していた)は「ライトの光量も今までとは比較にならない。GTEと同等のものを使っているよ。日本人は夜が見づらいって? もう大丈夫だろう」とバリザー。
ポルシェのGT3カーとしては初となるエアコンの装着、重心位置の変化を防ぐべく固定化。アジャスタブルペダルボックスを組み合わせ、ドライビングポジションを合わせる。また、ボンネットピンもフラットタイプが採用されたりと、作業性も考えられている。




