実は今回の吉田のポール獲得の裏には、予選Q1での脇阪薫一のベテランの技があった。Q1で脇阪がドライブしている際、なんとコクピットのディスプレイが点かなくなるトラブルがあったのだ。「自分がそれで走れと言われたら、本当に難しいシチュエーション(吉田)」という状況だったものの、脇阪はエンジンサウンドを頼りにシフトアップを行い、無線や残り時間が分からないなかで、ギリギリ16番手をキープし、Q2の吉田に繋いでみせたのだ。

 Q1からQ2までの間に、チームは電源のラインが切れていることを発見し、早急に対応した。これで吉田は万全の状態でQ2に臨み、先述のタイムを出すことができたのだった。脇阪、そしてチームの頑張りがあったからこその吉田のポールと言える。

「チームが苦手な富士で、少しでも合うように細かいところを詰めてくれたのがポールポジションという結果に繋がったと思います」と吉田は予選後の記者会見で語った。

「スーパーGTは何年も乗っていますし、去年もポールポジションに届くかな……という時はありましたが、獲れなかった。ポールポジションを獲る難しさは自分が痛感してましたし、いろいろなサーキットの相性や気温、路温など、なかなか合わさらないとチャンスが来なかったんです。今回、Q1を薫一さんが通してくれたのが本当にすごいし、チームもしっかり直してくれたので、その点に感謝しています」

「鈴鹿、タイとQ1を任されて失敗していたので、今回ポールポジションを獲れたことは嬉しいですし、狙ってはいたものの、まずはミスをせず、みんなが繋いでくれたなかでポテンシャルを発揮するべく走りました。結果は後からついてきたものですが、自分が任されたことをこなせて、安心している方が大きいですね」

埼玉トヨペットGB マークX MC/2019スーパーGT第5戦富士
埼玉トヨペットGB マークX MC/2019スーパーGT第5戦富士

■ポールポジションという結果が生む自信

 今回吉田が成し遂げたポールポジションという結果は、埼玉トヨペットGreen Braveにとっても、今季目指していた目標のひとつだったという。2017年にスーパーGTに参入して以降、奮闘をみせてきたディーラーチームにとっては大きな勲章だ。

「嬉しいですよ。スーパーGTに参戦してから、ポールポジションはいつかは獲りたいと思っていましたし、平沼貴之オーナーが今年に入って、決勝レース前のポールポジションの演出を観る度に『いつかグリッドの真ん中を、マークXが走る日を観たいね』と言っていた。今年の僕の目標のひとつだったので、本当に嬉しいです」というのは、青柳浩監督。

「吉田選手は速いですが、チームに加わってからもいいところでトラブルが出たりしていた。いいかたちで結果が残せてこなかったので、本人もこうして結果が残せたので良かったのではないのでしょうか」

 もちろん大事なのは決勝レースでの結果だが、純粋に速さを示すことができる予選はドライバーとしても重要なものだ。今回、大きな喜びはみせなかったが、吉田にとっては大きな自信に繋がったはずだ。

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