スーパーGT ニュース

投稿日: 2020.12.07 18:14
更新日: 2020.12.07 18:22

HOPPY team TSUCHIYA 2020スーパーGT第8戦富士 レースレポート


スーパーGT | HOPPY team TSUCHIYA 2020スーパーGT第8戦富士 レースレポート

HOPPY team TSUCHIYA
レース結果報告書
2020 SUPER GT Rd.8
富士スピードウェイ

■日時 2020年11月28〜29日
■車両名 HOPPY Porsche
■場所 富士スピードウェイ
■ゼッケン 25
■監督 土屋武士
■ドライバー 松井孝允/佐藤公哉
■チーム HOPPY team TSUCHIYA
■リザルト 予選11位/決勝14位

攻めの無交換を完遂

 ミーナさん(共同チームオーナーのホッピー社長・石渡美奈さん)、最終戦が終わってしまいました。なんか寂
しいですね。

「そうね。あっという間の1年が終わってしまってちょっと寂しいよね。でもGTAをはじめとする皆さんには、開催に向けて大変なご苦労があったと思いますけど、そのおかげで無事終わってよかった。それにウチのチームじゃないけど、最後にあんなドラマ(GT500タイトル争い)をみせていただいて、これだからレースがやめられない。ビジネスの世界に勝負があっても、ここまで瞬間で勝敗が着くことはないなと思う反面、共通する部分も数多くあって、本当にレースっていろいろなことを教えてくれる」

 GT500のことは置いておいて、ボクの今シーズンはどうだった?

「ホピ輔は、シリーズ最後の方にようやく日本の水に慣れてきたみたいだから、来季はもっと日本で活躍しても
らいたいなと思っているよ」

 ボクの来季継続参戦決定ということでよろしいのでしょうか? 改めてよろしくお願いします。

 申し遅れました、ボクはホピ輔(本名HOPPY Porsche)です。ボクがHOPPYチームつちやのスーパーGT第8戦をレポートさせていただきます。第6戦鈴鹿、第7戦もてぎと苦しいながらも、ボクたちは知恵と技で連続してポイントを獲得しました。土屋武士監督も「ほぼ100 点のレース内容」という自画自賛ぶりです。

 その流れを継続しつつ、最終戦は今季の集大成として充実した内容にしたい……。そういう思いを胸に富士スピードウェイへ向かいました。それにもうひとつ、武士監督の頭の中には考えがありました。タイヤ無交換作戦の実施です。

 ボクの開幕戦での状況では、まともにレースできるかどうかわからない、ファーストスティントももたないタイヤしかありませんでした。しかし、横浜ゴムのルーキーエンジニアのがんばりと、武士監督、木野竜之介データエンジニア、ドライバーの松井孝允くん、佐藤公哉くんとのコミュニケーションで、タイヤ開発の方向性を絞り込んでいくことができました。その結果、開幕戦の時には考えられないようなタイヤ無交換作戦が検討できるレベルにまで到達したのです。

 でも違う角度からみると、状況は違うのに結局、作戦はマザーシャシーのときと同じ作戦じゃんと、突っ込む
こともできるよね?

「たしかにそうなんだけど、11月の終わりの富士のレースだから、とにかく寒いはず。だからタイヤ交換がないことでピット作業時間が短縮できるだけでなく、ウォームアップに掛かる時間も短縮できて、これもヘタすると10秒くらいになるから、メリットが大きいと考えたんだ。それにストレートが遅いからコース上での追い抜きが難しい……本当はスピード勝負でイケイケでいきたいんだけどね。あと鈴鹿、もてぎでポイントが獲れたからこそ、最後はできるだけ攻めたかった」(武士監督)

 公式練習はいつものように孝允くんがまずは2種類のタイヤを確認するところから始めました。ひとつはロングランで実績のある従来品で、もうひとつはソフト系のタイヤ。こっちのソフト系のタイヤでタイムが出るようだったら、予選で上位グリッドを狙って、オーソドックスに4輪交換。ロング重視の従来品を選択するのだったら無交換作戦を狙うという方針です。

 走ってみるとソフト系のタイヤは路面温度との関係か思ったような結果は得られず、ロング重視の従来品一択となりました。そこからはロングでいかにタイヤを守るか、そこに重点を置いて周回とセットアップを重ねました。タイムが期待できるタイヤではなかったので、Q1突破は孝允くんのがんばりの賜物です。しかもロング重視のセットアップがたたり、かなり乗りづらい状況だったのにも関わらず1分36秒877のタイムでBグループ7番手となりました。

 Q2に向けては孝允くんのコメントで少しセットアップを変えて、公哉くんがアタック。1分36秒751のタイムで11番グリッドを確保しました。

2020年スーパーGT第8戦富士 HOPPY Porsche(松井孝允/佐藤公哉)
2020年スーパーGT第8戦富士 HOPPY Porsche(松井孝允/佐藤公哉)

 タイヤ無交換作戦を成功させるためには、まずタイヤのライフを確認する必要があります。レース前のウォームアップもそのための周回数を稼ぐことに使いました。フリー走行から周回を重ねたタイヤで、ウォームアップ終了までに走ったのは50周。タイヤの摩耗量としてはレース周回数に届かないというのがこの時点でわかりました。しかし、直後に横浜ゴムのエンジニアさんに走行後のタイヤを確認してもらったところ、構造には問題なしとの判定が出たので、あとはドライバーに託すことになりました。

 レース前のミーティングで、孝允くんと公哉くんに「なんとかしてね」と武士監督。足りないものを足りるようになんとかする。そこをドライビングに託すというのも、信頼していないとできることではありません。もともとドライビングスタイルがボク(ポルシェ)に合っている公哉くんと、第4戦もてぎでタイヤの使い方を失敗して、その教訓から学んでブレイクスルーした孝允くんだからこそ頼れたのでしょう。

 スタート担当は公哉くん。ボクとレースするようになってから初めての無交換だし、前半スティントでタイヤを使ってしまえば作戦が台無しになってしまうので、ガソリンが重い決勝序盤はかなり慎重に走っていました。7周目、ダンロップコーナーの入口でGT500にインを譲ったところに、後続の4号車にも入られて、コツコツ当たりながら並走しようとしたのですけど、次の左コーナーでタイヤがずるっと滑って4号車のテールにヒット。4号車を回してしまいました。

 もちろん公哉くんはワザとやったわけでないのですが、前後とも右側のタイヤはけっこうピックアップしており(路面のタイヤカスが付着)、グリップが悪かったみたいです。レース後、公哉くんは武士監督に連れられて4号車のピットに謝りに行っていました。

 10番手走行で23周を完了してピットイン。孝允くんに交代。給油のみでピットを後にします。このタイミングで、4号車との接触についてのペナルティとしてドライブスルーが指示されます。この時点でポイント獲得の可能性は相当に低くなったものの、武士監督は孝允くんに無線を通じて「データを取るからちゃんと走ってね」と指示します。

 勝敗だけでみたらレースは終わったも同然ですけど、武士監督としてはそうじゃなかったようです。エンジニアとしてのレースは継続中。モニターのラップタイムをみながら、ニンマリしていたらしいです。孝允くんのラップタイムは1分40秒台で安定しており、たまに1分39秒台にも入れていました。グリップが落ちてもバランスは崩れずタイムを乱すことなくフィニッシュしました。

2020年スーパーGT第8戦富士 HOPPY Porsche(松井孝允/佐藤公哉)
2020年スーパーGT第8戦富士 HOPPY Porsche(松井孝允/佐藤公哉)

 オマケとしては4号車を抜いたことでしょうか。あのペナルティがなかったら、何位くらいになれていたのかな、武士監督?

「レース後半はずっと周囲のタイムと比較していたけど、うまくして9位だったと思う。55号車の後ろ。でも今回のペナルティはドライバーがレースで戦った結果だから仕方ないよ。4号車の皆さんには申し訳なかったけども……。1年間ストレートスピードで苦戦してきて、じゃあピット戦略でというのはマザーシャシーみたいだけど、これは今後のタイヤ開発に活きるだろうし、やっぱり横浜ゴムが元気出さないと、スーパーGTは盛り上がらないから」

 でもGT300チャンピオンはヨコハマ・ユーザーだよ。

「まあそれは置いといて(苦笑)、とにかくみんなで成長できたシーズンだったと思う。ドライバーの成長もすごかったし、チーム全員で成長できた。自分のなかでも過去一番か二番かというくらい」

 FIA-GT3のボクとレースしたことで勉強できた面もあるのかな?

「GT3というより、ポルシェというところだろうね。いい先生になってくれた。エンジニアリング面で成長できたし、戦略にしても、苦しいなかでいろんなことを考えて実行するという部分で後半戦よかったと思う。もちろんいじれないし作れないところには物足りないところは感じるけども、ポルシェだからこその出来のよさやカスタマーサービスの体制などから学ぶ面がすごくあった」

 タイヤも進化したよね。

「タイヤエンジニアの成長が大きい。若いエンジニアがウチの担当についてくれて、そのコといっしょに作ることができた。いいか悪いかはっきりわかるのが大事で、感情や思い込みを廃して論理的に進められるようになった。一番はコミュニケーション。失敗体験と成功体験を重ねながら、そこから学んでお互いを信頼して作り上げる作業ができたと思う。そこにウチの特色があるし、来年がより楽しみになったね」

 ボクとしてはリヤエンジンでコーナーが不得意な分、性能調整(BOP)でもう少し速くしてくれないとツラ過ぎるとは感じたけどね。でもその苦しいなかでも、奇襲攻撃みたいな作戦を次から次へと考えて戦う姿勢を崩さないのが、このチームのキャラクターなんだなと、だんだん理解できるようになりました。来年もよろしくお願いします、武士監督。

「来年、ボクはちょっと引こうかと思っているんだ」

 ええ!?

「今はまだイメージでしかないんだけど、もっと若い子たちにいろんな経験をしてもらいたいなって。若い子たちに主役になってもらって、自分はちょっと引いたポジションから全体を見てみようかなって。244号車と2チーム分の管理責任もあるしね。レース戦略とかは今までとおりやると思うけど。セットアップのベースもできたし、ドライバーふたりはなんでも乗れるし、ここだけでもすごい変化でしょ。それにつちやエンジニアリングとしても、次のステップへもっともっとレベルアップしたいから」

 そういうことなんだ。成長に合わせて役目を変えていくのもチームの成長のためには大事なんだね。ミーナさんが言うように、ボクもチームになじんで、かなりスーパーGTの戦い方がわかってきたから、来年はもっと活躍することをお約束いたします。引き続き応援よろしくお願いします。それから、最後になりましたけど、1年間応援ありがとうございました。

松井孝允のコメント

「公哉選手がすごくタイヤを守ってくれて、ボクに代わったときはタイヤも元気な状態で、問題がありませんでした。クルマのバランスもすごくよくて最後までプッシュできました。来年に向けた課題もそのなかでみえましたが、今年1年の締めくくりとして、まとめることができた最終戦でした」

「今年、ポルシェに乗ることでドライビングの幅を広げることができました。これはスーパーGTに限らず他のカテゴリーにも活きるものです。ドライバーとしてこの1年を通して技術面でステップアップできたと実感しています。この成長を来年の結果に繋げていきます!一年、応援をありがとうございました!!」

佐藤公哉のコメント

「タイヤ無交換ということで、序盤、慎重に守りすぎたところもありましたが、こうやって無交換で走りきりましたし、後半も孝允さんが速く走って、何もなければポイントが獲れたかもしれない戦いができたなかで、凡ミスをしてしまいました。4号車のみなさん、チームには申し訳ないと思っています」

「今年1年ということで言えば、苦しい時、追い込まれた時に耐えられる強さが増したと思います。タイヤを守らなければいけないとか、ストレートが遅く集団のなかでの走行が難しい状況とか、そうしたことへの対応を多く学べました。耐え忍ぶことで後につなげることの重要さを勉強させてもらい、これは今後に活かせると思います。今年もたくさんの応援をありがとうございました!!」

土屋武士監督コメント

「まずはHOPPY team TSUCHIYAとしての初年度を、無事に終えることができたこと、皆さまのご支援、ご声援を頂きながら、多大なるサポートを感じながら戦えたことに感謝いたします。本当にありがとうございました!!」

「最終戦は結果こそ残念でしたけど、ポルシェでは難しいと思われていたタイヤ無交換を完遂できたことは、シーズン始めからずっとタイヤ開発をしてくれたヨコハマタイヤのエンジニアの頑張りに他ありません。そして孝允がポルシェのドライビングに苦労した序盤戦から後半戦は見違えるように乗りこなし、公哉もあらゆる面で頼もしく成長してくれました。他にもチームのみんなが自主的に動いてくれるようになり、タイヤ開発と共に若い人たちの成長がすごく印象的なシーズンになりました。ポルシェからもたくさんの学びと気づきを得ることができ、本当にポルシェにして良かったなと思えるシーズンでした」

「ただ、成績は望んだようなものではなく、悔しい気持ちが大きく残ったので、今年の成長をしっかりと来年のリザルトに反映できるように、チームオーナーとしてもやるべきことを妥協なく進めていきたいと思います。また来シーズンも自分たちらしく、常に成長することをテーマに、応援、サポート頂く皆さまにワクワクするようなレースをお見せできるように、このシーズンオフも気を抜くことなく準備を進めていきたいと思います。一つ一つ丁寧に。これからも積み重ねていきます!来シーズンも応援をよろしくお願い致します!!」

2020年スーパーGT第8戦富士 HOPPY team TSUCHIYA
2020年スーパーGT第8戦富士 HOPPY team TSUCHIYA
2020年スーパーGT第8戦富士 HOPPY Porsche(松井孝允/佐藤公哉)
2020年スーパーGT第8戦富士 HOPPY Porsche(松井孝允/佐藤公哉)


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