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スーパーGT ニュース

投稿日: 2021.04.30 10:40
更新日: 2021.04.30 10:42

ミシュランが開幕戦で確信した技術的ブレイクスルーと、タイヤセット数制限の“さらに先”

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スーパーGT | ミシュランが開幕戦で確信した技術的ブレイクスルーと、タイヤセット数制限の“さらに先”

 今季のスーパーGTは、スポーティング規則の変更により、レースごとのドライタイヤの持ち込みセット数が7から6セットへと削減された(※ただしこれまで同様、2戦目以降、未勝利タイヤメーカーは1セットを追加できる。また、300kmを超えるレースでは別途ブルテンにより持ち込みセット数が追加される)。

 7セットを持ち込む場合、走行前にマーキングされる6セットで公式練習〜レースの第1スティントを戦うことが義務づけられ、マーキング外の“7セット目”についてはレースの第2スティントに投入するかどうか、ということになる。タイヤの選択および使用状況にもよるが、第2スティントにもマーキングタイヤを使うことはこれまでも珍しくなかった。

 小田島氏はこれについて「セット数が減ることで、もちろん戦略的なチョイスの幅が狭まるというか、“博打が打てなくなった”という側面はあります」としながらも、「いままでもよっぽど手の内に困らなければ、6セットでレースをこなせていました。それもあって、GTAのなかでも『6セットでもいいのではないか』という議論はずっとありました」と明かす。

「とくに供給台数の多いメーカーさんでは1セット減ることで物流面でもインパクトがありますし、レースに向けたタイヤの生産数が減れば材料も減らすことができる。この、環境負荷という面では全タイヤメーカーが(セット数削減に)賛同しているところです」

2021年開幕戦での持ち込みのドライタイヤは全車が6セットとなった
2021年開幕戦での持ち込みのドライタイヤは全車が6セットとなった

 さらに小田島氏はセット数制限について、「もっともっと、少ない方向に行くべきだと思います」との考えを述べる。

「いまのスーパーGTのタイヤ(の最低限のライフ)は、予選での1アタック+レースの1/3、具体的な距離でいえば170kmといったあたりで考えられていますが、タイヤの技術的なチャレンジという側面から言えば、『ピークタイムを上げる』だけでなく、『より長持ちさせる性能を鍛える』という課題もありだと思います。そういったタイヤの技術は、結局一般(市販)のタイヤへのフィードバックにもなりやすい。レースを勉強の場と捉えるのであれば、それ(ルールによって与えられる課題)に対してチャレンジしていくのが技術者かなと思います」

 坂東正明GTA代表も開幕戦の定例記者会見において、将来的なバイオフューエルなど新燃料の導入検討状況等を語るなかで、「タイヤについても持ち込み(セット数)を減らして、長い距離を走らせるというのもひとつの手」と発言していた。坂東代表はまた、タイヤのセット数や使用燃料量を維持しながらレース距離を伸ばすことによって、タイヤ・燃費の両面でセミ耐久レースたるスーパーGTなりのサスティナビリティを体現していくというアイデアも示唆している。

 今年導入されたタイヤのセット数制限は、そうした方向への第一歩と捉えることもできる。タイムだけはないタイヤの技術競争、これもまたスーパーGTのコンペティションの一部。その行く末が興味深い。


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