S-GT2021 Rd3 Suzuka Final
LMcorsa REPORT
♯60 SYNTIUM LMcorsa GR Supra GT

GR Supra GTに合ったコース特性ということでポイント圏内での戦いが期待されたが本来のパフォーマンスを発揮できずに14位で決勝レースを終える

気象データ

気温:31度、路面温度:43度(スタート時)

 当初は5月末に予定されていたAUTOBACS SUPER GT第3戦「FUJIMAKI GROUP SUZUKA 300km RACE」だったが、新型コロナウイルスの感染拡大の影響により延期されていて、7月にはスケジュール通りに第4戦のツインリンクもてぎ大会が開催された。そのため開催の順番が入れ替えとなったが、約3ヶ月の延期を経てSUPER GTの第3戦が8月21日〜22日に鈴鹿サーキットで実施された。

 今季からマシンをGR Supra GTに変更したLMcorsaは、8戦中3戦を終えた時点で23ポイントを獲得していてポイントランキング4位とシリーズチャンピオン争いを行なっていた。ただ、SUPER GTでは成績によって課される独自のウエイトハンデ制度(サクセスウエイト)を用いていて、1ポイントにつき3kgのウエイトをマシンに積むことが義務付けられている。69kgのウエイトを積んだ前戦のツインリンクもてぎではマシンの素性は良いもののコーナーからの加速力に欠け、12位で決勝レースを終えることとなった。

 今戦の鈴鹿サーキットは、コース特性がツインリンクもてぎよりもサクセスウエイトの影響が少ないと想定され、トップ10内に入りポイントを加算することが目標となった。

 8月21日(土)に実施された予選Q1では担当した吉本大樹選手が欲をかいたというように、予選前の公式練習からセットアップを変更して挑んだことが裏目に出てしまう。結果として予選Q1突破のボーダーラインに0.07秒足らずに19位となってしまった。

 迎えた決勝レース日の8月22日は夜半に雨が降ったことにより、朝一に行なわれたサポートレースの時点で路面の一部は濡れた状態だった。レースウィークの天気予報は降水確率が高く、どこかのタイミングでウエットコンディションとなることが予想された。しかし、公式練習では小雨が降ったもののそれ以外で路面を濡らすほどの雨が降ることはなかった。

 サポートレースやSUPER GTのドライバーアピアランスなど予定されていたプログラムは順調に進み、13時10分から20分間のウォームアップ走行が実施された。SYNTIUM LMcorsa GR Supra GTには吉本選手と河野駿佑選手の2人が乗り込み、マシンの最終確認を実施し300kmの決勝レースに備えた。

 ウォームアップ走行でクラッシュが発生したため決勝レースは当初の予定から10分遅れた14時40分にフォーメーションラップがスタートする。19番手グリッドに並んだSYNTIUM LMcorsa GR Supra GTのステアリングは吉本選手が握り、最初のスティントに挑む。

 オープニングラップで1台をパスした吉本選手は3周目にも1ポジション上げ、さらに上位を目指した。だが、GT500クラスのマシンがクラッシュしたために4周目には早くもセーフティカーが導入される。ここでチームはライバル勢と異なる戦略を採る判断をし、10周目に吉本選手をピットに呼び戻した。SUPER GTのルールだと1人のドライバーが1/3以上の周回数を走行する必要があるため、10周でピットインしてもドライバー交代ができない。だが、セーフティカーが導入されているタイミングで給油やタイヤ交換を実施しておくと、ルーティンのピット作業時間を削減することができる。つまり、レースの1/3が終了した時点で実施する予定の作業を先に終わらせておくという戦略だった。

 SYNTIUM LMcorsa GR Supra GTは、10周目にピットに戻ると給油のみを行ない再びコースに復帰する。セーフティカーが導入される前までは17番手だったが、この給油のピットストップによって27番手まで後退する。しかし、全車がピットストップを終えたときには上位争いに加わっているという算段になる。

 レースは11周目に再開され翌周に1台をパスして26番手に浮上した。そして16周目に再びピットレーンにマシンを運び、今度は吉本選手から河野選手にドライバー交代するとともに4本のタイヤを交換。さらに少量だが給油も実施してコースに復帰した。河野選手は30周を超えるロングスティントとなり、タイヤやマシンのマネージメントなども気にしながらの走行となった。コースインから10周程度は2分3秒~4秒のペースで周回を重ねるが、30周を超えると徐々にペースが落ちてくる。苦しい状況の中でも河野選手はポジションを上げていき、35周目に全車が規定のピットストップを終えると16番手まで浮上していた。まだチェッカーまで10周以上が残っていたため、上位陣のペースが落ちればポイント圏内への進出もみえる状況。だが、ライバル勢もラップタイムを落とすもののポジションを死守し先行を許さない。39周目に1つポジションを上げ、最終の48周目にも1台をパスするが14位まで順位を上げるのが精一杯で、ポイント圏内でのゴールは叶わなかった。

 GR Supra GTのマシン特性を考えると合っていると想定していた鈴鹿サーキットだったが、予選と決勝レースともに苦戦を強いられた。シリーズチャンピオン争いをする中で2戦連続のノーポイントは厳しいが、次戦のスポーツランドSUGOも得意としているコースのひとつ。少しでも多くのポイントを積み重ねられるように準備を進めていく。

●コメント
飯田章監督

「決勝レースは色々な想定をして臨んだのですが、どの戦略も思い描いた通りにはなりませんでした。もともと最初のスティントは短くする予定で、その前にセーフティカーが導入されたため給油のみのピットストップを実施しました。ピットワークはミスなく戦略としても良かったと思いますが、それほど先行しているマシンを抜くことができませんでした。前戦よりもコースとの相性でパフォーマンスが発揮できると思っていたのですが、結果的には上位に入るチャンスがありませんでした。次戦に向けて、どのような巻き返しができるか考えないといけません」

吉本大樹選手

「想定していたよりも厳しい決勝レースとなってしまいました。スタートを担当したのですが、10周目前後からタイヤが厳しくなって規制されたミニマムの周回数でルーティンのピットストップをしました。後半の河野選手もファイナルラップまで全力で走ってくれましたが、ポイントには届きませんでした。鈴鹿サーキットではポイントを積み重ねられると思っていたので、予選と決勝レースともに誤算でした。天候やピットストップの戦略など味方しなかったところもありますが、全体的にみると戦えるパフォーマンスがありませんでした」

河野駿佑選手

「シリーズチャンピオン争いをしているので、2戦連続でノーポイントという結果は悔しいのひと言です。鈴鹿サーキットは抜きにくいコースなのでかなりのタイム差がないと先行車をパスすることはできません。第2スティントでコースに復帰した時点で最後方に近かったので、厳しい展開になるのは想定していました。全力を尽くしましたが14位までしか巻き返せませんでした。戦略も含めてチーム全体で検証して、次戦では確実に上位でフィニッシュしてポイントを積み重ねたいです」

2021スーパーGT第3戦鈴鹿 SYNTIUM LMcorsa GR Supra GT(吉本大樹/河野駿佑)
2021スーパーGT第3戦鈴鹿 SYNTIUM LMcorsa GR Supra GT(吉本大樹/河野駿佑)

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