しかし、新型A1の名誉のためにいっておくと、古典的な高級車の価値観では分かりやすさが薄れたが、走り味は明確にスポーティさを増しており、そこが新型の個性である。
乗り心地や静粛性はたしかに物足りないが、そのぶん、ハンドリングは俊敏でエンジン音も心地よく調律されている。身のこなしは路面にフラットに低く張りつくゴーカート的なもので、アシは基本的には引き締まっているのに、細かい路面不整やワダチなどには印象的なほど進路が乱されにくい。
これはサスペンションの横剛性や各部のフリクションが小さいからだろう。さすが高級車だけに、サスペンションなどに、他社コンパクトカーよりの高精度な部品を使っている可能性が高い。
こうして実際に乗ってみると、前記の三連インテークに強く傾斜した極太リヤクォーターピラー、そして全高の低いプロポーションなど、新型A1のデザイン特徴も、乗り味との整合性という意味で説得力が増す。
ただ、それにしても、もう少し安ければ……というか、ポロとの価格差があとわずかに小さければ……というモヤモヤは、正直なところちょっとある。そんな新型アウディA1もひとまず日本上陸ホヤホヤである。
今後はより手頃、あるいはより高級なバリエーションが追加されるのは間違いなく、現在のこのモヤモヤも、遠くない将来に手当てがなされるとは思う。
■アウディA1スポーツバック 35TFSI advanced諸元
車体 | |
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全長×全幅×全高 | 4040mm×1740mm×1435mm |
ホイールベース | 2560mm |
車両重量 | 1220kg |
乗車定員 | 5名 |
駆動方式 | FF |
トランスミッション | 7速DCT |
タイヤサイズ | 215/45R17 |
エンジン種類 | 直列4気筒DOHCインタークーラーターボ |
総排気量 | 1497cc |
最高出力 | 110kW(150ps)/5000ー6000rpm |
最大トルク | 250Nm(25.5kgm)/1500ー3500rpm |
使用燃料/タンク容量 | ハイオク/40L |
車両本体価格 | 365万円 |
■Profile 佐野弘宗 Hiromune Sano
1968年生まれ。モータージャーナリストとして多数の雑誌、Webに寄稿。国産の新型車の取材現場には必ず?見かける貪欲なレポーター。大のテレビ好きで、女性アイドルとお笑い番組がお気に入り