2018年の「SUZUKA S耐 春の陣」のリザルトを振り返ってみると、ポール・トゥ・ウインを飾ったのは、7クラス中2クラスだけだった。
スーパー耐久は、AドライバーとBドライバーのタイム合算で決勝レースのグリッドを決める、独自の予選システムを採っているため、絶対的な韋駄天ドライバーがいようとも、必ずしもポールポジションが獲れるとは限らない。
むしろ、ふたりともトップではないのに、ポールポジションが獲れることもある。だから予選と決勝のリザルトが直結しにくいともいえるが、上位陣の実力は、それだけ伯仲しているという見方が正しいだろう。
その一方で、開幕戦の全クラスのウイナーが2018年のクラスチャンピオンに輝いていることには、少なからず驚きを覚えた。
開幕戦から、いきなり5時間もの長丁場を戦うことが大きく影響を及ぼしていると考えられるほか、2018年はコントロールタイヤがピレリに改められたことも影響しているだろう。
最後までハイペースを維持できる体制をいち早く築き、なおかつ従来のタイヤとは異なる特性を完璧に把握できていた強みが、シーズンを通して活かされたからではないだろうか。

タイヤへの把握は、どのチームも1年間の活動によって、かなり進んだに違いない。さすがに引き続き開幕戦全クラスのウイナーが、そのままチャンピオンということはないだろうが、スタートダッシュがタイトル争いに効くことは間違いないはずだ。
そのスタートダッシュを決めるのは、どのチームだろうか?
まだエントリーが確定していないが、ST-Xクラスに関しては、Y’s distraction GTNET GT-Rが体制不動での参戦が濃厚。鈴鹿の相性はチームのみならず、とりわけ星野に関してずば抜けて高く、スーパー耐久鈴鹿戦では2年連続で優勝を飾っている。

また同じく不動での継続参戦が濃厚な、ST-2クラスでDAMD MOTUL ED WRX STIを走らせるTOWAINTEC Racingには、記録更新をかけたシーズンの初戦ともなる。
ST-1クラスとST-Xクラスをまたいで連覇の記録は、2008年から13年までのPETRONAS SYNTIUM TEAMが6連覇をしているが、昨年ですでに連勝記録は並んでおり、同一クラスでは記録を更新。7連覇となれば、前代未聞の快挙達成となる。
一方、鈴鹿では初成立となる、ST-Zクラスにも注目したい。GT4車両で争われるクラスは2018年、成立したのが3戦だけで、いずれも孤軍奮闘となっていた。
しかし、2019年はすでにKTMカーズジャパンがKTM X-BOWでの参戦を表明、ENDLESS SPORTSがメルセデスAMGを東京オートサロンで展示するなど、複数の参加が確実になっている。
GT4車両はもともとジェントルマンドライバーをターゲットとしているだけに、アクティブ&セーフティが特徴とあって、耐久レースとの相性は抜群。コストパフォーマンスにも優れることから、さらにエントリーを増やす可能性もあろう。何よりバトルが見られるのが嬉しいところ。競い合う中で見せる、本当の戦闘力を楽しみにしたいものだ。
他のクラスも盛り上がり必至だ。国内ビッグレース最初の開催となる3月23~24日が今から待ち遠しい。
