■レースの興奮を生み出すためには“人為的”な策が必要

 リバースグリッドは人為的すぎると言われてもかまわない。だとしてもそれが大きな問題になるだろうか。ここ数十年の間で最高と称されてきたレースの中にも、通常ならあり得ない状況で実現したものがいくつもある。

 2012年のスペインGPでは、絶好調だったウイリアムズのマシンを生かし切ったパストール・マルドナドが優勝した。彼は、真っ向勝負でルイス・ハミルトンを破ったのではない。ハミルトンはレギュレーション違反により予選タイムを抹消され、最後尾からスタートしたのだ。

 ベッテルがトロロッソで初勝利を挙げた2008年イタリアGPは、勝ち目のなかったドライバーによる偉業と見なされている。けれども予選、決勝とコンディションはウエット、マクラーレンのハミルトンはグリッド後方に沈み、チームメイトのヘイキ・コバライネンのペースは悪く、ベッテルを脅かさなかった。

 マックス・フェルスタッペンはレッドブルでのデビューウインを飾ったが、メルセデスの2台が同士討ちによって消えたがゆえに手にした勝利だ。加えてチームメイトのダニエル・リカルドもお粗末な戦略に足を引っ張られた。これは誰もが認めるところだろう。

 これらは、幸運な出来事によってドライバーがチャンスをフルに生かし、番狂わせを起こした好例である。自然な流れによって、普通ではあり得ない状況が発生した。

 リバースグリッドの場合はそうではなく、イレギュラーな状況を故意に作り上げるものだ。しかし、スタードライバーらが列をなしている現状で、何か違うことが起きるという事態は非常に稀だ。多額のチケット代を支払ってコースサイドにいる観客たちや、テレビ視聴者らのために面白いレースを見せるという部分が運任せになっている。そんなことがいまだに競技(そうは見えなくても)において許されている現状は、ばかげている。

※「【特集:いま、F1に求められる大改革(2)】大胆変更の予選システムをシミュレーション」は後日公開いたします。

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