パワーユニットに関するあらゆる種類のトラブルにより、8日間のテストにおけるマクラーレン・ホンダの走行時間は大きく制限されてしまった。油圧低下による問題から始まり、2回目のテストの最終日までチームはずっと電気系トラブルの解決方法を模索し、原因究明を行っていた。
これによってマクラーレン・ホンダは8日間のテストで最も少ない周回数しか走ることができなかったうえ、全チームの中で唯一レースシミュレーションを行うことができなかったのだ。
今回のテストを受けてひときわ失望しているのがフェルナンド・アロンソだろう。一連のトラブルの原因はホンダにあると考えている2度のF1チャンピオンは、彼らに対する忍耐の限界を超えているようだ。
取材陣からのインタビューに応じるアロンソは、ホンダが自分たちの役割を果たしさえすれば、マクラーレンには勝つ用意ができていると声を荒らげる。彼は平然とパワーユニットが勝てるレベルに達していないと主張したのだ。
望んでいる結果を手に入れるまではF1から引退しないとアロンソ自身は語っているが、いつかル・マンに参戦したいという考えをもっているため、2017年でF1から身を引く可能性すら考えられる。
ただ公平のために言うと、ホンダに対するアロンソの“口撃”は、マクラーレンとの合意のうえで行われている可能性が高い。チーム代表のエリック・ブーリエがホンダを批判し、チームとエンジンサプライヤーという関係に悪影響を与えるよりは、エースドライバーであるアロンソを記事の見出しに載せる必要があると感じたのかもしれない。
プレシーズンテストを終えて明らかになったことがあるとすれば、それは2017年もマクラーレン・ホンダが苦しむだろうということだ。もし状況が好転しなければ、関心の的となるのはレースの結果よりもむしろ2018年にホンダと決別するかどうかになるだろう。そして仮にホンダがマクラーレンとの関係を失ったとき、それでもなお彼らはF1に興味を持つだろうか。そうだと願おう……。