F1ジャーナリストがお届けするF1の裏話。第9戦カナダGP編です。
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 カナダGPを観戦した方なら、あのレースの週末に天候がどれほど大きな役割を果たしたか、よくご存知のことだろう。

 スタート前からレース途中にかけて何度か降った雨は、ドラマティックな展開のお膳立てをした。路面のコンディションが絶えず変わり続け、ドライバーとチームは難しい判断を迫られたからだ。

 レーシングドライバーはほぼ例外なく、雨中のドライビングが好きだと言う。理由としてよく挙げられるのは、雨によってハンディがなくなる、つまりそれぞれのクルマのパフォーマンスレベルよりも、ステアリングを握る者のスキルが結果を左右しやすくなることである。ただ、実際には、必ずしもそうなるとは限らない。

 週末の最初のプラクティスセッションが始まる1時間半ほど前のことだ。激しい嵐がジル・ビルヌーブ・サーキットを襲った。そして、恐ろしく強い雨ばかりではなく、一時は大粒の雹(ひょう)まで降って、パドックは白い氷の粒で覆われた。

 ご存知のように、このコースはセントローレンス川に浮かぶノートルダム島にある。それゆえに、F1レースに必要なあらゆるものを収めるのにはスペースが不足気味で、漕艇場に張り出したプラットフォームに建てた仮設の建物、というか実際には大きなテントが、チームのホスピタリティユニットとして用いられる。この嵐の風雨と雹がテントに当たって発する轟音は耳を聾するほどで、チームメンバーたちは顔を近づけて怒鳴り合いながら、なお互いの言うことを聞き取るのに苦労していた。

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