同じ頃、アロンソ陣営もロマン・グロージャンをアンダーカットすべく戦略変更を検討し始めた。

MCL「どのくらい抑え込まれている?」

ALO「かなりだよ」

MCL「タイヤとマシンバランスはどう?」

ALO「判断するのは難しい。前が遅すぎる!」

 結局、2ストップ作戦の予定を前倒しして12周目にピットストップを敢行してアンダーカットを狙いに出た。

ALO「フェルナンド、100%のペースをひねり出してくれ。GRO(グロージャン)はまだステイアウトしている。前についていけ。GROとのギャップは22.4秒だ」

 しかし1周目にピットインしてミディアムタイヤを捨ててから走り続けているダニール・クビアトに抑え込まれてなかなか抜くことができない。

 クビアトは「アロンソはストレートでもコンペティティブだった」とパワーの差がそれほどないことに驚きを見せたが、追い抜きのきっかけを掴めないまま遅いペースに付き合わされているうちに、後方からピットインしたばかりのエリクソンがアロンソを上回るペースで追い付いてきた。

MCL「1秒後方のERI(エリクソン)は8周オールドのソフトだ」

 アロンソは28周目にあっさりと抜かれてしまい、チームはふたたび戦略の変更を検討し始めた。

 計算上の最速はソフトタイヤを多用した3ストップ作戦だが、アロンソが長く抑え込まれてしまったことからも分かるように、多くのマシンがトラックポジションを優先して2ストップ作戦を採っていた。

MCL「100%ペースで走れ。タイヤの状況を教えてくれ。戦略をアジャストする」

 マクラーレンも2ストップ作戦が“プランA”であり、早めに履いて周りより遅くなってしまったソフトをここで捨ててアンダーカットを狙い、残り周回をタレの少ないミディアムで走り切る粘りの戦略を採った。

MCL「ボックス、ボックス。コンファーム」

 しかしその直後の33周目、ターン1でバンドーンがマッサと接触してしまい、ストップ。これによってVSCが出され、アロンソと順位を争うはずだったライバルたちがスロー走行中にほとんどタイムロスなくタイヤ交換を済ませてしまった。

 これでアロンソは挽回のチャンスを失い15位のまま。レース再開後のペースは悪くないが、ポイント獲得の可能性は絶望的だった。

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