翌年GP2参戦の噂もあったオコンだったが、この計画は実現しなかった。この時、ロータスF1は財政面で危機に瀕しており、オコンはここでジェラルド・ロペスが率いるジニー・キャピタル/ロータスF1の育成プログラムに別れを告げた。

 2015年はARTグランプリからGP3に参戦することを選び、5月の開幕戦直前にトト・ウォルフ率いるメルセデスと契約。肩書きはDTMドイツツーリングカー選手権におけるテストドライバーだった。とはいえ、オコンの主戦場はGP3に変わりはない。GP3での優勝は1回のみとなるも、11回の連続表彰台を含む計13回の表彰台登壇という抜群の安定ぶりを見せつけ、オコンはGP3チャンピオンに輝いた。

 また、5月のF1バルセロナ合同テスト、6月のF1レッドブルリンク合同テストにおいて、メルセデス・パワーユニット(PU)を搭載するフォースインディアVJM08のステアリングを握った。そして“本業”として、DTMの現場ではメルセデス勢のARTグランプリに帯同したのだった。

 FIA F3ヨーロピアン選手権王者に加え、GP3王者という経歴も得て2016年を迎えたオコンだったが、メルセデスPU搭載チームのシートに空きはなかった。

 そのため、メルセデスベンツAMG DTMチームARTからDTMに参戦しつつ、ルノーF1でリザーブドライバーを務め、スペインGP、イギリスGP、ハンガリーGP、ドイツGPの4戦で金曜FP1に出走することに。また、シルバーストンのインシーズンテストではメルセデスの『W07』をドライブ。懸命に与えられた仕事をこなし、F1シートに空きが生じる瞬間を待ち続けた。

 そうして迎えた2016年8月。メルセデスPUを搭載するマノーは、レギュラードライバーのリオ・ハリアントが「契約上の義務を果たすことが不可能である」と明らかにし、ハリアントに代わりオコンをシーズン後半9戦で起用すると発表した。これでオコンは同じメルセデス傘下のパスカル・ウェーレインのチームメイトとして、2016年第13戦ベルギーGPにてF1初レースを迎えたのだった。オコンは当時19歳11カ月だった。

 F3、GP3でタイトル獲得し、自らの実力を示しながらも、F1のシートが空く瞬間を待ち続ける時間を過ごしたオコン。その後、2019年の1シーズンのみメルセデスのリザーブドライバーを務めたものの、2026年現在も彼はレギュラードライバーとしてF1のステアリングを握り続けている。実力とF1チームの支援を有しても、F1のシートを掴むことは容易ではないことを示すような初期キャリアだった。

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