おそらく2→3速で“マジック”を駆使、並行するボッタスはたじろぎブレーキングでブロックできなかった。

これがベッテルの勝因にほかならない。メルセデスのボッタスは後方乱流を浴びるとプッシュできない傾向がある。2秒前後のマージンを堅守、DRS圏内に入れないよう全力を傾注したベッテル。逃げるが勝ちだ。
ゲームの焦点はピットスタートのハミルトンにあった。8周目に10番手、20周目に6番手、30周目にはトップに。安全・安心なオーバーテイク模範プレーを続けた4冠王はベテランらしい。
マシンの速さに任せ強引に抜くのではなく、若手を相手に“実戦レーシングスクール”のコーチのよう。

トップ6は3強チームが占めた。その後方での7位対決、フェリペ・マッサ対フェルナンド・アロンソ対セルジオ・ペレスの“マッチレース”をもっとTV映像もフォローして欲しかった。
マッサはコーナーで曲がらず苦しく、アロンソはシャープにインをコンパクト・ラインで攻めるが抜けず、9位ペレスは前方の戦いをウオッチしながら直線加速スピードに賭けた。この分かりやすい駆け引き=ドライバーズ・レースがブラジルGPエンディングを盛り上げた。
――最後に表彰台で異例なマッサ引退セレモニーがあり、第45回ブラジルGPはしめくくられた。

