ファンの多くは、大音量で甲高い音を発するエンジンこそ、F1のスリルと興奮には不可欠だと考えている。しかし、それは過ぎ去った時代の記憶に結びついた、懐古的な気まぐれにすぎないと、アビテブールは言う。

「それは世代の問題だと思う。やがては、V10やV8のエンジン音を知らない世代の人々が育ってくる。彼らは、エンジンは静かなのが普通だと思うに違いない」
「彼らは別の種類の音、たとえばタイヤのスキール音、機械的な摩擦音、クルマの風切音といったものが、レーシングカーの発する音だと考えるだろう。私たちはいま、世代的にも技術的にも変化の境目にいる。新しい時代を迎える時には、いつもある程度の抵抗があるということだ」

 アビテブールの考えを手短かに言えば、F1のサウンドの問題に関しては、周囲の余計な「ノイズ」が多すぎるということかもしれない。
「時間が経てば、自然に解決する問題だ」と、彼は言う。「おそらくF1は、ちょっと先を急ぎすぎたのだと思う。ある意味では、時代に先行しているわけで、私たちはそうした変化を拒絶せずに、受け入れていかねばならない」

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