そして、18年型新車で今度こそメルセデスを打ち破るには、どうしたらいいのか。『SF71H』はサイドポンツーンの独自デザインをさらに突き詰める一方、ホイールベースは伸ばしてきた。この転換は高速レイアウトでのメルセデス捕獲を狙いとするのだろうが、却って新車を際立ったところのない、凡庸なものとしてはしまいか? そんな危惧もされる。

 ベッテルは8日間のテスト日程のなかで、全体ベストとなる1分17秒182をマークした。これに次ぐのが僚友ライコネンで、1分17秒221。メルセデスのベストは18秒台に留まる。

 だがこれを好材料と捉えるのは、時期尚早だ。ベッテルとライコネンのベストはいずれもピレリのもっとも軟らかい新コンパウンド『ハイパーソフト』によって記録されたもので、メルセデスはそのタイヤを履いて本格的アタックに臨むことはなかった。

 そして、このハイパーソフトというタイヤは、まず市街地コースやよほどの低速レイアウトでしか使われることはない。そうしたレースは年間でも限られる。

キミ・ライコネンもSF71Hの挙動に好印象

 ただ、バルセロナのような中高速コーナーもふんだんに含むレイアウトでハイパーソフトが使えたというのは、ここ近年の跳ね馬の美徳であるタイヤへの優しさは新車にも引き継がれたとみていい。また、クルマの挙動に対して鋭敏すぎるほどの感性を持つライコネンが、SF71Hに好印象を口にしているのも完全にプラス要素だ。

 果たしてSF71Hの行く先には、長く遠ざかった跳ね馬戴冠の日が待つのか。

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