ハートレーはパワーユニットとリヤエンドを載せ換えてぶっつけ本番で決勝に臨まなければならず、グリッドへ向かうラップではシートの背中に液体のリークが起きたりバイブレーションを感じたりと不安もあったが、前者はメカニックが修理し、後者はタイヤ起因のものでスタート時には万全の状態になった。

 1周目にセーフティカーが出たため想定していた通りピットインし、ソフトタイヤを捨てて残りはミディアムタイヤだけで走り切る戦略に出た。

STR「チャージオンだ、ブレンドン」

HAR「了解」

STR「タイヤを温め続けろ。この周にセーフティカーがピットに戻るかもしれない」

 前回のバクーではホンダとトロロッソの間で相互理解が足りずセーフティカー走行中にバッテリーのフル充電ができていなかったために次々と抜かれたが、この点は事前のコミュニケーションを改善することでスムーズな運用がなされるようになっていた。

 ハートレーはマシンのフィーリングの良さを感じていたものの、7周目のリスタートでセルゲイ・シロトキンに抜かれて抑え込まれ、本ラインペースを発揮することができなかった。

STR「ERI(マーカス・エリクソン)がSIR(シロトキン)とのギャップを広げているぞ」

HAR「(本来のペースでは)僕らの方がもっと速いんだ」

STR「ERIは1分25秒0だ」

 ルノーやマクラーレンがザウバーを抜くのにかなり手間取ったのと同じように、オーバーテイクが難しいバルセロナではメインストレートの立ち上がり加速力と最高速が足りなければ決定機を作り出すことができない。

 17周目、レースエンジニアのピエール・アムリンが発破をかけるが、当のハートレーにもどうすることもできない。

STR「ブレンドン、ここがレースのとても重要な場面だ。ペースを上げる必要がある。SIRをパスするんだ」

 レースが中盤に差し掛かった21周目、トロロッソは1セットで最後まで走り切るのはやはり難しいと判断して1ストップを挟む戦略を考慮していた。20周目にピットインしたシャルル・ルクレールが後方から追い上げてくるが、これを抑え込むことも後々彼をコース上で逆転するためには必要なことだった。

STR「我々はプランAを考えている。タイヤライフはすごく余裕があるからプッシュして良いぞ。(ルクレールに対して)ディフェンスするのにオーバーテイクボタンを使っても良いぞ。SIRのDRSもキャッチするんだ。我々の戦略のためにはLEC(ルクレール)を後ろに抑えておくことが重要だ」

 結局24周目にシロトキンがピットインするまでそのペースに付き合わされることになってしまった。25周目にはメインストレートでタイヤの新しいルクレールに抜かれてしまい、ここからは最終スティントをできるだけ短くして後々コース上で戦うことになるシロトキンやザウバー勢よりもフレッシュなタイヤを履くことを心がけた。

STR「(LECに抜かれて)OK、オーバーテイクボタンはもう使うな。DRSだけを使っていけ。後ろのSIRはたくさんブルーフラッグを受けているぞ」

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