33周目にピットインを済ませ、シロトキンの前でコースへ復帰。本来のペースが速いからこそできたオーバーカットだ。

STR「ここからチェッカーフラッグまでフラットアウト(全開)だ。プッシュし続けろ」

 40周目には5位ダニエル・リカルドにまで周回遅れにされ、燃費セーブは必要なくなった。

STR「これでもう燃費セーブは不要だ。タイヤマネージメントだけに集中しろ」

 ペースアップしたハートレーは前のストフェル・バンドーンとエリクソンとのギャップを急激に詰めていき、バンドーンがリタイアするとエリクソンの背後に迫っていった。

STR「良いペースだ。ERIとは8秒のギャップで1周1秒速いぞ。残りは19周だ」

 55周目にはテールトゥノーズの状態になり、バトルへ。しかしやはりストレートでザウバーを抜くのは難しかった。

STR「良い仕事をしているよ。ERIをできるだけ早くパスする必要がある」

 オーバーテイクボタンを使うものの、最終コーナーの立ち上がりで付いていけなければDRSを使っても決定機には結びつかない。逆にオーバーテイクボタンの使いすぎでバッテリーレベルが下がってしまいデプロイメント切れが発生してしまった。57周目、首位ルイス・ハミルトンが追い付いてきて2周遅れとなり、譲る際にエリクソン攻略を試みたが失敗に終わった。

STR「オーバーテイクボタンは使うな。後ろからHAM(ハミルトン)が来るぞ。ブルーフラッグだ、(先に行かせて)HAMに付いていけ」

STR「バッテリーレベルが下がっている。必要な時だけデプロイしてくれ」

 59周目にバッテリーが再びオーバーテイクボタンが使える状態に戻り、ハートレーのアタックが再開された。

STR「オーバーテイクボタンを使って良いぞ。必要な時に使え」

STR「残り2周、ERIはブルーフラッグを受けるぞ」

 そしてハートレーにとって最終ラップとなった64周目に見事にオーバーテイクを果たし、12位へ浮上。もう少し早くレース序盤のシロトキンとレース終盤のエリクソンを攻略できていれば、9秒前方にいたランス・ストロールも捕らえられたはずで、そこからさらに4秒前方のルクレールと入賞圏内も見えたはずだった。

2018年F1第5戦スペインGP ピエール・ガスリー(トロロッソ・ホンダ)、決勝スタート直後にアクシデントに巻き込まれる

 ピエール・ガスリーも1周目で事故に巻き込まれてリタイアを強いられ、フリー走行3回目のクラッシュから始まった悪い流れのせいで本来のパフォーマンスを発揮することなく終わってしまったトロロッソ・ホンダだが、内容に目を向ければ決して悲観するようなレースではなかった。

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