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F1 ニュース

投稿日: 2018.11.07 08:00
更新日: 2018.11.06 19:05

新5冠王となったハミルトンの心理戦と、ベッテルの後悔。タイトル争いの流れを決めた6つのレース【今宮純のF1総括】

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F1 | 新5冠王となったハミルトンの心理戦と、ベッテルの後悔。タイトル争いの流れを決めた6つのレース【今宮純のF1総括】

 メキシコGP決定後、ハミルトンは言った。
「敵地であるモンツァでの勝利が心理的に、ベッテルと彼らにダメージを与えたという意味ではとても大きかった」

 一方ベッテルは言った。
「ドイツGPやイタリアGPのミスよりも、第15戦シンガポールGPでメルセデスに戦力面で及ばなくなっていったのが“ターニング・ポイント”だ」

 勝者と敗者の総括コメントには納得がいく。ただベッテルには悔いなく戦えたかと言えばそうではなかったと……、そんな思いがくみとれる。2018年シーズンも再びメキシコのエルマノス・ロドリゲス・サーキットでエンドロール。1年前に見たことのある長編映画をもう一度見せられているみたいな気もすこしある。

 ふたりが主役の18年『対決譜・後編』にもうひとり、最優秀助演賞に値するのがフェルスタッペンだ。シンガポールGPからベッテルはハミルトンではなく、このレッドブル・ボーイにやられつづけた。

2018年F1第19戦メキシコGP マックス・フェルスタッペン
2018年F1第19戦メキシコGP マックス・フェルスタッペン

・シンガポールGP:ベッテル3位/フェルスタッペン2位
・日本GP:ベッテル6位/3位
・アメリカGP:ベッテル4位/フェルスタッペン2位
・メキシコGP:ベッテル2位/フェルスタッペン1位

 ハミルトンとのタイトルマッチ・レースに立ち向かうだけでなく、フェルスタッペンとも戦わなければならなかったベッテル。それを象徴するシーンが日本GP鈴鹿のスプーン・カーブだった。“オーバードライブ”と(後に)言われようとも、いまここしかない4冠王の挑戦心がフェルスタッペンとの接触ではじけ散った。

――ファン・マヌエル・ファンジオさんのレースは見ていない。1995年7月に84歳でお亡くなりになる前、グランプリ会場に見えたとき遠くから拝見したことがある。背筋を伸ばし、さっそうと現れるオーラはまさに『5冠王者』だった。アルゼンチンの自動車修理工から支援を得て渡欧し、1952年に大事故を経験しながら57年ドイツGPに勝って達成された。その“人生史”が、ご本人を見てだぶってしまった。

5度目のドライバーズタイトルを獲得したルイス・ハミルトン

 浅黒い肌の22歳ハミルトンが半世紀を経てここまで至るとは、正直申し上げて想像はできなかった。38歳ファンジオが50年5月最初のイギリスGPに勝ってから68年あまり、ハミルトンも何かを犠牲にして何かを乗り越えて新5冠王となった。

 敗れたベッテル、制したハミルトン。メキシコGPでのあのハグはふたりが今年ここまでで、最も安らぎを共感できる瞬間ではなかったか。


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