年を追うごとにフェラーリでのポジションが急速に上がっていったことについて、ビノットは元会長セルジオ・マルキオンネがその前進を後押ししてくれたと故人をしのんだ。

「彼は2014年に私をパワーユニット部門のトップに昇格させてくれた。だがその後の任命について言えば、彼はフェラーリだけでなくF1全体にあった古い慣習を打ち破ろうとしていたのだと思う」

「マシン設計の経験がない人間をテクニカルディレクターとして選んだのだから。これはフェラーリの水平型組織に関わる賭けだったはずだ。チームは現在もこの形で運営されている」

「リーダーとしては、もう個々の詳細に立ち入ってスタッフたちの権限を決めることはできない」

「私ひとりのマシンではない。デザイナー、ペインター、ドライバーなど、すべてのスタッフのものだ。ともに作業を行った全員が主人公なのだ」

 2018年の夏にマルキオンネが亡くなったが、これはフェラーリにとって大きな打撃だった。だがビノットは、自動車業界の伝説的経営者から伝えられた価値観や教訓を、大切に心にしまっている。

「『限界を設けるな。不可能に挑む目標を作れ』。彼(マルキオンネ)の意欲は絶えることがなかった。個人的なことであれ、F1に関することであれ、歴史に残ることをしようとする気持ちを持っていた」

セルジオ・マルキオンネ(左)、マウリツィオ・アリバベーネ(右)
セルジオ・マルキオンネ(左)、マウリツィオ・アリバベーネ(右)

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