セクター1で0.161秒、セクター2で0.374秒も2位リカルドを上回り、セクター3で0.019秒劣ったもののコースレコードのPP。ロズベルグは対抗視されたレッドブルを0.531秒も突き放した。29回目PPの真価がここにある。ところがまた日曜未明に激しい雷雨、コース上は再び洗われた。

 ロズベルグにすれば土曜と同じような路面状態だ。深読みするなら、レッドブルやフェラーリにとっては、金〜土〜日とドライのままラバーグリップ効果が促進されるいつものシンガポール・コンディションが望ましかっただろう。

 唯一警戒しなければならないのは、レコードライン奇数側もピット寄り偶数側も、ラバーグリップ効果に差異がなくなったこと。でもロズベルグはウルトラソフト、リカルドはスーパーソフト、蹴り出しはいいはずだ。勝負師はポジティブ思考でなければならない。

 ニコ・ヒュルケンベルグが犠牲になったあのスタートの混乱が大事故にならずに済んだのは、フェルスタッペンの回避能力による。とっさの減速が2次接触、さらには3次接触を防いだからだ。きれいなスタートダッシュを決めたロズベルグ、ここにハミルトンとの心理的“優劣関係”が潜む(と読む)。

F1に限らず何度かダッシュ失敗が重なると、その残像記憶がこびりつくのがこのスポーツ。今後終盤に向け、個人的にこれは非常に大きなタイトルマッチのポイントだと思っている。

 2ストップ決断のロズベルグ、3ストップに賭けたリカルド、最後はコース上のタイムバトルに。決して受け身ではなくラスト数周に余力をすべてはき出しスパート、ロズベルグが1時間55分48秒950の『シンガポール・ナイト・マラソンレース』を制した。

 0.488秒の攻防をつらぬいた2位リカルドには、最も速かった堂々たる敗者と言おう。──秋深しチャンピオンシップ。終盤に来て、今年はレーシング濃度がますます高まりつつある。

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