メルセデス:HAMのペースは30.2だ。HAMは第1スティントを長く引っ張っている。君は高速コーナーでできるだけタイヤをセーブしろ。

2019年F1第10戦イギリスGP アントニオ・ジョビナッツィ(アルファロメオ)
2019年F1第10戦イギリスGP グラベルにストップするアントニオ・ジョビナッツィのマシン(アルファロメオ)

 そんな矢先、アントニオ・ジョビナッツィ(アルファロメオ)がグラベルに捕まってセーフティカーが導入された。これはまさに第1スティントを引っ張ってステイアウトしていたドライバーたちにとって待ちに待った展開だった。セーフティカー先導中にピットインすれば通常時に比べて15秒近く短いロスで済んでしまうからだ。

 当然のごとくハミルトンはここでピットに飛び込み、タイヤ交換を済ませた。そしてボッタスの前でコースに復帰。後方に回った上にもう一度ピットインしなければならないボッタスにとっては、二重の意味で不利を背負うことになってしまった。

ハミルトン:みんな、よくやってくれた! ここまでに何周走った?

メルセデス:20周走ったよ。

ハミルトン:20周よりも長く感じたよ。

 タイヤを労りながらもフルプッシュした第1スティントは、ハミルトンにとっても精神的に長く感じた20周だったようだ。

 これで実質的に優勝のチャンスを失ったボッタスは、2番手を守るためのレースに切り替えるしかなかった。ハミルトンと同じ戦略で3番手に浮上したセバスチャン・ベッテル(フェラーリ)に対して、残るピットストップ1回分のタイムギャップを稼がなければならなかった。

 そのためには好ペースが必要で、ハミルトンにもそれと同等以上のペースで走行してもらわなければならなかった。そしてメルセデスAMGはそれをしっかりとやった。

メルセデス-ハミルトン:BOT(ボッタス)は1.1秒後方。彼はミディアムタイヤを履いているからもう1回ピットインしなければならない。

メルセデス-ボッタス:後ろはどのクルマもハードタイヤだから最後まで走り切ると思われる。今のペースで走れば後方をクリアできる。スティントの最後にタレるのは嫌だからこのペースで大丈夫だ。

2019年F1第10戦イギリスGP決勝 フェラーリのセバスチャン・ベッテルがレッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペンに追突
2019年F1第10戦イギリスGP決勝 フェラーリのセバスチャン・ベッテルがレッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペンに追突

 2番手争いの脅威はベッテルからマックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)へと変わっていったが、ベッテルを抜いた直後に追突されてフェルスタッペンが後退したことでボッタスにとってはかなり楽な展開になった。代わって3番手になったルクレールとのギャップは、ピットストップまでに充分に広げられそうだったからだ。

メルセデス:我々はLECをピットウインドウの外に押し出そう。

 メルセデスAMGは首位ハミルトンのハードタイヤが最後まで走り切れるかどうか際どいと考え、後方に充分なギャップがあるためピットインさせることを考える余裕まであった。しかしハミルトンはその指示を受け付けず走りつづける。

メルセデス-ハミルトン:我々はフリーストップができるから安全を考えてピットインしよう。プランA(2ストップ作戦)に戻る。

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