44周目、ピットクルーがタイヤを持って準備をするがハミルトンは入ってこない。

メルセデス:BOX、BOX。

ハミルトン:本当にそれで良いの?

 それが何度か繰り返され、ハミルトンがピットインするのを待っていたボッタスの方を先にピットインさせることにした。

ボッタス:フロントのバイブレーションが酷くなってきている。

メルセデス:あぁ、見ているよ。もう先は長くないぞ。

 ここでソフトタイヤを履いたボッタスは最後にアタックを行なってファステストラップを記録する。

 その一方でハミルトンはボッタスがピットインすることを聞かされても自身はタイヤ交換を行なわず、最後まで走り切った。

ハミルトン:あと何周?

メルセデス:この周を入れてあと8周だ。BOTはピットインする。

ハミルトン:ギャップは?

メルセデス:ギャップは3.2秒。

 タイヤはギリギリどころか、最終ラップにボッタスのファステストラップを0.037秒上回って更新してみせるほどの余裕があった。ハミルトンは自分自身の感覚を信じ、チームの予測を遥かに上回る走りを披露して母国イギリスGPを完全制覇し、ジム・クラークやアラン・プロストを抜いて過去最多となるイギリスGP通算6勝目を挙げ14万の大観衆を沸かせて見せた。

2019年F1第10戦イギリスGP ルイス・ハミルトン(メルセデス)
2019年F1第10戦イギリスGP ルイス・ハミルトン(メルセデス)

ハミルトン:なんて日だ。シルバーストン、みんな愛しているよ。応援しに来てくれてありがとう。本当に素晴らしい観衆だったし素晴らしい雰囲気だった。その一部になることができて誇りに思うよ。本当にありがとう!

 その一方でセーフティカーに勝利を奪われたボッタスには、チームからもかけるべき言葉が見付からなかった。

メルセデス:P1はHAM、P2が君だ。何と言えば良いのか分からないよ……。

 随所で上質なバトルが見られたイギリスGPだったが、もしセーフティカー導入がなければ、レースはもっとエキサイティングな展開になっていた。できることならば、ハミルトン対ボッタスの本気のチーム内バトルの行方が最後まで見たかったイギリスGPだった。

2019年F1第10戦イギリスGP日曜 メルセデスのバルテリ・ボッタスが優勝したルイス・ハミルトンを祝福
2019年F1第10戦イギリスGP日曜 メルセデスのバルテリ・ボッタスが優勝したルイス・ハミルトンを祝福

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