アルボンがピットインできなかったのは、チームの戦略もさることながらパワーユニットが抱えた問題のせいでもあった。

2019年F1第10戦イギリスGP 12位でフィニッシュしたアレクサンダー・アルボン(トロロッソ・ホンダ)
2019年F1第10戦イギリスGP 12位でフィニッシュしたアレクサンダー・アルボン(トロロッソ・ホンダ)

 あの時アルボン車には高電圧系にトラブルがあるという警告灯がつき、ERS系(エネルギー回生システム)からの漏電が疑われる状況だった。ピットインしても感電防止のためメカニックはマシンに触れることができず、電源をリセットしてからでないとタイヤ交換もできなかったのだ。

「パワーユニットの高圧系の(問題がある可能性があるという)警告が出ていて、一度パワーユニットをオフにしないとメカニックが触ることができない状況になっていたのと、その時のタイヤの状況を考えて、あそこでピットインさせ(て再起動してからタイヤ交換をす)るよりはそのまま最後まで走った方が良いだろうと判断しました」(ホンダ・田辺豊治テクニカルディレクター)

 アルボンは30周目を過ぎた頃になって「最後まで走り切る戦略を採る」と伝えたレースエンジニアのピエール・アムランに「もっと早く言ってよ!」と不満をぶつけたが、こんな状況の中で自分に課された仕事をしっかりとやりきったことになる。

 セーフティカーの不運とチームの不手際に怒り心頭かと思いきや、レース後のアルボンは笑顔だった。

 確かにポイント獲得のチャンスは失ったが、それ以上に純粋な速さという収穫を手に入れたからだろう。

「ターン15(ストウ)の観客席にタイの国旗があったんだ。サーキットでタイ国旗を見たのなんて初めてだよ、本当にビックリした。ニコ(・ヒュルケンベルグ)を抜いたのもそこだったんだ。どこでも抜くことができたんだけど、彼らのためにあそこで抜いたんだ!(笑) 彼らが見てくれていたら良いんだけどね」

 どこでも抜くことができたというのは冗談だが、そのくらいシルバーストンのSTR14は速く、失望のレースの後でもそんな冗談が言えるほどアルボンは上機嫌だった。

 この速さを酷暑のホッケンハイムリンクでもしっかりと結果に繋げること。それがトロロッソ・ホンダに課された使命ということになる。

本日のレースクイーン

早麻おとはやまおと
2026年 / スーパーフォーミュラ
トヨタS&Dミレル
  • auto sport ch by autosport web

    20歳でスーパーGTの最高峰に挑む“新人”小林利徠斗に迫った『FORMATION LAP』2026年第1弾が6月5日に公開

    ふつうとちょっとズレてる──20歳で最高峰に挑む新人ドライバー【FORMATION LAP Produced by auto sport】2026 Episode 1

  • auto sport

    auto sport 2026年7月号 No.1621

    [特集]WRC 2027
    Gr.A時代の熱狂、ふたたび

  • asweb shop

    掘り出し物満載の特別企画『モデルカー祭り!』がautosport web shopで開催中。6月25日まで

    レア物や特別価格商品が満載!
    6月25日まで