——目標は鈴鹿のフリー走行1回目を走ることではなくて、あくまでF1ドライバーになることだと思うのですが、そうなるとどうしても年齢的なところがネックになると思いますが、そこのところはどのように考えているのでしょうか。
山本尚貴:スポーツ選手としては、年齢は避けては通れない部分であることは確かです。皆さんは若いほうがいいと思われますが、じゃあ僕が10年前ここにいたら、いまとおなじスピード感とセッティングの能力、語学力も含めたコミュニケーション能力が足りてたかっていうと、残念ながら足りてなかったと思います。
僕がいまレッドブルでシミュレーターに乗れたのも、10年間国内でプロとして活動させてもらってからこそできたのだと思います。僕がいま40歳や50歳というのなら、話は少し違ってきますが、31歳がどうかというと、F1ドライバーになるのに若くはないけれど、遅くもないと言えるようにしたい。
それにF1を取り巻く状況というのは、常に変化しています。2018年のアブダビGPのときは、マルコ(レッドブルのモータースポーツアドバイザーのヘルムート・マルコ)さんに年齢のことをまず言われ、「年齢ってやっぱり大切なんだな」って思っていたんですけど、今回来て話をさせてもらうと、(マルコさんは)スーパーフォーミュラのレースもよく見ていて、僕のレース内容と結果を純粋に評価してくれました。
だから、マルコさんの気持ちを変えられたっていうのは、僕にはうれしかった。単純に年齢で割り切ってるんじゃなくて、きちんとレースを見てると、僕は感じました。
——これからが本当の勝負ですね。
山本尚貴:いま僕は国内でレース活動をしているので、F1だけに100%専念できないという難しさはあります。でも、レッドブルのシミュレーターに乗るなんて誰にでも経験できるわけじゃないし、(ホンダやレッドブルが)バックアップしてくれていることに対して感謝しています。
だからこそ、このチャンスを自分で掴みとりたい。それは自分の夢のためでもあるし、国内のモータースポーツの発展のためでもあります。そういった責任と思い、高い志を持ってやっていきたいですね。