では、ハミルトン同様に2ストップ作戦に変更していたら、どうなっていたのだろうか。もし、ハミルトンが2回目のピットストップを行う前にピットインしていたら、ハミルトンはステイアウトし、1回目のピットストップ以降、フェルスタッペンよりも速いペースで走っていたことを考えると、タイヤ交換しても、フェルスタッペンがハミルトンに追いつくのは難しかっただろう。

 次にハミルトンが2回目のピットインをした後に、フェルスタッペンが2回目のピットインをしていたらどうなっていただろうか。タイヤ交換をした後のハミルトンのペースは、一気に上がっていたため、フェルスタッペンは結果的にハミルトンのアンダーカットを許す形となっていたに違いない。さらにハミルトンの前を走行していたフェルスタッペンが、同時ピットインを行うことは不可能だった。

 つまり、この日、フェルスタッペンに自力で勝つチャンスは、残念ながらなかった。しかし、田辺TDが「今日の状況ではベストを尽くせた」と言っているように、異なる状況でレースが展開されていれば、フェルスタッペンの優勝もあった。その状況とは3番手以下がハミルトンと20秒差以内でレースしているというものだ。

 そうなっていれば、ハミルトンが2回目のピットストップを行うと、3番手に後退してしまうため、メルセデスは2ストップを行わなかっただろう。また行なったとしても、2番手のドライバーを抜かなければならず、チェッカーフラッグまでにフェルスタッペンを攻略できていなかったのではないかと思われる。

 ハンガリーGPの予選でポールポジションを獲得したフェルスタッペン。しかし、その速さがレースではフェラーリを置き去りにするというアドバンテージとなった一方で、結果的にハミルトンに戦略の自由度を広げる結果となり、レッドブル・ホンダにとっては仇となってしまった。

「ポールをとって、あそこまでトップを守りながら、負けたことはやっぱり悔しいですが、しっかりと2位表彰台に上がれたことは、今後の戦いにつながるという意味では良い結果だったと思います」

 田辺TDはそう言って、夏休み前の一戦を締めくくった。

2019年F1第12戦ハンガリーGP マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)は2位表彰台
2019年F1第12戦ハンガリーGP マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)は2位表彰台

本日のレースクイーン

伊達望だてのぞみ
2025年 / スーパー耐久
クイーンズエンジェルス
  • auto sport ch by autosport web

    FORMATION LAP Produced by autosport

    トランポドライバーの超絶技【最難関は最初にやってくる】FORMATION LAP Produced by auto sport

  • auto sport

    auto sport 2026年1月号 No.1615

    ネクスト・フォーミュラ 2026
    F1からカートまで
    “次世代シングルシーター”に胸騒ぎ

  • asweb shop

    STANLEY TEAM KUNIMITSUグッズに御朱印帳が登場!
    細かい繊細な織りで表現された豪華な仕上げ

    3,000円