2019年F1第16戦ロシアGP ルイス・ハミルトン(メルセデス)
2019年F1第16戦ロシアGP ルイス・ハミルトン(メルセデス)

メルセデス:ストラット7に戻してくれ。ボッタスがルクレールからプレッシャーを受けている。

ハミルトン:僕には僕のレースをさせてくれ。ペースを上げる必要はないのか?

メルセデス:このギャップを維持してくれ。もしルクレールがボッタスをパスしたら伝えるよ。

 42周目にはボッタスに対してポジションを守るべくパワーユニット(PU/エンジン)のモードを上げる指示が飛ぶ。

メルセデス:ギャップは1.1秒。HPP1ポジション3、5回プッシュできるよ。

 その一方でルクレールも最後のプッシュに賭ける。

ルクレール:もしまだ何かあるなら僕にあるもの全てをくれ。

フェラーリ:了解。

 だがその差は如何ともし難く、抜くことはできない。過去3戦の連勝は確かに速さの進歩もあったが、予選で前に出たことが大きかったことが証明された。そしてメルセデスAMGもそれをよく知っていたからこそ、フェラーリとは異なるタイヤ戦略でこの展開を狙っていた。

 勝利を諦めたルクレールはファステストラップを狙いに行く。

ルクレール:次の周クールダウンラップをやってその次にファステストラップを狙うよ。今のファステストはいくつ?

フェラーリ:36秒3だ。

ルクレール:それなら行けると思うからトライするよ。

 その言葉通り、ルクレールが記録したのは1分36秒193。

 しかし、その直前にハミルトンがタイムアタックを行なって1分35秒761と大きく上回るタイムを記録し、“ポケットの中身”を披露してフェラーリの心を打ち砕いた。

 ポジションスワップを巡って一悶着あったとはいえ、メルセデスAMG勢を抑え込んで1-2体制を築いたフェラーリの戦略は決して間違ってはいなかった。ピットストップを終えた段階でルクレール、ベッテルの順で実質的にメルセデスAMGに先行していたのだから。

 波乱なくルクレールが勝利を収めていれば、ここまでの騒動になることはなかったかもしれない。しかしフェラーリの連戦連勝が、こと決勝に関しては極めてギリギリのバランスで成り立っていたものだったことが改めて証明されたロシアGPだった。

2019年F1第16戦ロシアGP ポールポジションから3位表彰台となったシャルル・ルクレール
2019年F1第16戦ロシアGP ポールポジションから3位表彰台となったシャルル・ルクレール

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