しかし、フェルスタッペンが後方に沈んだ後も、この日のレッドブル・ホンダにはまだチャンスが残っていた。それはチームメイトのアレクサンダー・アルボンがレース序盤に3番手を走行していたからだ。ところが、レッドブルはアルボンに2ストップ作戦を採らせ、結果的に5位に終わった。ポールポジションからスタートし、序盤先頭を走っていたシャルル・ルクレール(フェラーリ)も4位に終わり、トップ3がいずれも1ストップだったことを考えれば、この日のレースは1ストップ作戦が正解だった。

2019年F1第18戦メキシコGP決勝 アレクサンダー・アルボン(レッドブル・ホンダ)
2019年F1第18戦メキシコGP決勝 アレクサンダー・アルボン(レッドブル・ホンダ)

 アルボンを2ストップから1ストップに切り替えることは考えなかったのかと尋ねると、ホーナーは次のように回答した。

「最初から2ストップで行くと決めていた。だから早めにアレックスをピットに呼び入れた。その時点でわれわれはアレックスにスタート時に履いたコンパウンドと同じミディアムタイヤを装着させていた。その後、1ストップの方が早いことが判明したが、アレックスは異なるコンパウンドのタイヤに履き替えるためにもう一度ピットストップしかなく、1ストップに変更することはできなかった」

 つまり、もしフェルスタッペンが2台のメルセデスと接触していなくとも、レッドブルはフェルスタッペンにも2ストップ作戦を授けていた可能性は高く、そうなっていれば、フェルスタッペンもルクレールの後方でチェッカーフラッグを受けていたことになる。つまり、戦略的にもやや疑問が残るレースを行なっていた。

 土曜日の予選で、フェルスタッペンは予選で最速タイムをマークしながら、黄旗区間の減速が十分ではないという理由から3番手降格のペナルティを科せられ、4番手からスタートした。さらに、レースでは接触という不運に見舞われた。レースで勝利するためには、速いマシンを準備するだけでは十分ではない。そのマシンを約300kmのレースで最も早くチェッカーフラッグを受けさせるための最適な戦略と、速いマシンを乗りこなし、正しい戦略を遂行できる優れたドライバーが必要となる。

 メキシコGPでのレッドブル・ホンダは最速タイムを刻む速さがあった。しかし、戦略とドライバーの能力という点で、メルセデスに完敗していたといっていいだろう。

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