一方、フェルスタッペンに抜かれたルクレールはハードタイヤで最後まで走り切る1ストップ作戦は諦め、2ストップ作戦のプランCに切り替えて戦うことを選んだ。
ルクレール:プランCをトライすべきだ。
フェラーリ:我々はそれを検討しているところだ。
ルクレール:プランC、プランC!
フェラーリ:了解。
これでフェルスタッペンの後方は大きく離れ、前のハミルトンに追い付くこともできない。残り15周は一人旅でタイヤとパワーユニットをいたわりながらゴールへと運ぶ淡々としたレースになった。しかしそれはフェルスタッペンが第1スティントでしっかりとタイヤをセーブし、第2スティントの序盤できちんとルクレールを仕留めてみせたからにほかならない。
フェルスタッペン:フェラーリ勢は2台ともピットインした?
レッドブル:そうだ。
フェルスタッペン:あぁ、君の後ろで聞こえたよ、ハハハ(笑)
レースエンジニアの無線から聞こえてきたフェラーリのマシンがピットアウトする際のスキール音を聞いてフェルスタッペンは笑った。パワーユニットの不具合に不満を抱えながらも、フェルスタッペンにはそれだけの余裕があったのだ。そして55周を走り切り、悠々と2位でチェッカードフラッグを受けた。
レッドブル:P2、選手権は3位だ。本当に素晴しい仕事だった。
フェルスタッペン:あぁ、悪くない結果だね。良いリカバリーができたし良い戦略だった。みんな今年1年ありがとう、僕らはとても良い流れに乗っているよ。
レッドブル:よくやった、マックス。君は1年を通して素晴しい仕事をしたよ。いくつも素晴しいレースがあったし、とても良い流れに乗っているよ。本当に素晴しいドライブだった。
シーズンの大団円を祝うべく、トップ3フィニッシュの3台はメインストレート上へとマシンを向ける。
フェルスタッペン:ドーナツをするのに充分なパワーはある?
レッドブル:あぁ、大丈夫だ。
マシンパッケージとしてメルセデスAMGには敵わなかったが、レッドブル・ホンダは自分たちにできる限りの走りで2位を勝ち取った。それは2019年シーズンの彼らの飛躍を象徴するようなレースであり、そして2020年シーズンのさらなる飛躍を予感させるドーナツターンだった。