Q:最後に、2020年シーズンの大胆予想をお願いします。2019年はメルセデスが15勝、フェラーリとレッドブル・ホンダがそれぞれ3勝ずつという結果に終わりましたが、2020年レッドブル・ホンダは何勝できそうですか?
柴田:ホンダは2020年にぜひタイトルを獲りたいと言っているので、フェルスタッペンは少なくともひとりで5勝はしたいところ。そう考えるとモナコ、オーストリア、ハンガリー、メキシコ、ブラジルで5勝。イギリスは予選でパワーユニット(PU)にトラブルがありましたがポールポジションを獲れそうだったので、イギリスも優勝候補。それからシンガポールもいいですよね。ということで、7勝にしましょうか。
それから、アルボンにも1勝してほしい。期待を込めて、日本での優勝がいいですね。レッドブル・ホンダの1-2は厳しいかと思いますが、2020年はハミルトン、ルクレール、フェルスタッペンという、2019年の最終戦アブダビGPで表彰台に乗った3人を先頭にシーズンが進んでいくと思います。
中団チームでは、2020年もコンストラクターズ選手権の4位はマクラーレンだと思っているのですが、もし彼らが1勝したらおもしろいのではないでしょうか。どこのレースで優勝かと言われるとわかりませんが……。マクラーレンが遅い理由はないと思いますし、とにかくマネージメントがいい。驚いたのは、マクラーレン・レーシングのCEOであるザク・ブラウンが口を出さなくなったこと。よくあの出たがりな性格の彼が口を出さないようになったなと思います。
新しくチームに加入したマネージングディレクターのアンドレアス・ザイドルは、毎戦レース後に雑誌や新聞のジャーナリストを集めて囲みをやっているのですが、それを聞いていると『こうやってだんだん強くなっているんだな』というのがわかりますし、2020年も期待できそうです。
レーシングポイントは、松崎(淳/シニアエンジニア)さんやチーム代表のオットマー・サフナウアーが『2019年のようにはならない』と言っていました。マクラーレンが頭ひとつ抜けている状況が続いて、少し離されたところでレーシングポイント、ルノー、トロロッソの三つ巴の戦いになるのではないかと予想します。
2019年に大苦戦したハースも2020年は大丈夫だと言っていますが、まだわかりません。それからあくまで噂レベルではありますが、アルファロメオが撤退するのではないかという話がパドックでありました。2018年7月に亡くなったフェラーリの元CEOであるセルジオ・マルキオンネがF1にアルファロメオを復活させたいということでF1に戻ってきたアルファロメオですが、どうなるでしょうか。ハース、アルファロメオ、ウイリアムズは2020年も厳しいかなと思います。


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柴田久仁夫
静岡県出身。TVディレクターとして数々のテレビ番組を手がけた後、1987年よりF1ライターに転身。現在も各国のグランプリを飛びまわり、『autosport』をはじめ様々な媒体に寄稿している。趣味はトレイルランニングとワイン。
