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F1 ニュース

投稿日: 2020.09.11 09:51
更新日: 2020.09.21 02:10

【F1チームの戦い方:小松礼雄コラム第10回】トラブルで不安が残るも、『フェラーリPU勢トップ』の目標を達成

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F1 | 【F1チームの戦い方:小松礼雄コラム第10回】トラブルで不安が残るも、『フェラーリPU勢トップ』の目標を達成

 2度のセーフティカーや赤旗など、波乱の展開となりましたが、モンツァでの僕たちの目標は、フェラーリPU勢のなかで一番の結果を出すことでした。そういう意味では、ロマンが最後にキミ・ライコネン(アルファロメオ)を抜いて目標を達成できたのはとても良かったと思います。

 戦略に関しては、両車ともに1ストップ作戦を用意していました。ケビンは1周目の接触でフロントウイングを破損してしまいピットインせざるを得ませんでした。この後のフリーエアーでは良いペースで走れていたのでもったいなかったですね。

 この後、ケビンは前述の通りエンジンが壊れてリタイアとなり、これでセーフティカーが出ました。ケビンのクルマがピットレーンの入り口近くに止まっていたので、当初はピットレーン入り口が閉められており、ピットインすることは出来ませんでした。間違ってピットインしてしまったハミルトンとアントニオ・ジョビナッツィにはペナルティが科せられました。

 ピットレーンがオープンになり次第、ロマンをピットインさせるというのは明確でした。もちろん、ほかのドライバーたちもみんなピットインすることが想定されたので、普通にいけば順位の変動はありません。

 しかし、タイヤもそろそろ摩耗が進んできてグリップが落ち始めたので、ここでステイアウトしてもその後すぐにピットインを強いられるのは明らかでした。万が一、セーフティカー解除後すぐに赤旗が出た場合も考慮してステイアウトすることも実際に話しましたが、あまりにギャンブル性が高いので結局はセオリー通りにピットインしました。

 その後、シャルル・ルクレール(フェラーリ)のクラッシュで赤旗が出ましたが、これは予測できることではないので仕方ないです。赤旗が出た時、ロマンはセーフティカー中にピットインした時に装着したハードタイヤを履いていましたが、その同じタイヤでレースを再開することに躊躇はありませんでした。

ロマン・グロージャン(ハース)&ジョージ・ラッセル(ウイリアムズ)
2020年F1第8戦イタリアGP サイド・バイ・サイドでポジションを争うロマン・グロージャン(ハース)&ジョージ・ラッセル(ウイリアムズ)

 一方でライコネンとエステバン・オコン(ルノー)がレース再開時にソフトタイヤを履いているのを見た時はちょっと驚きました。ルノーは普段からタイヤをうまく使えている印象があるので、彼ならもしかしてソフトを活かせるかとは思いましたが、彼らでもダメでしたね。

 ライコネンは2番手から13番手まで転がるように落ちていきましたから、完璧な読み違いだと思います。12番手だったライコネンはセーフティカーが出る前にピットインして、ピットレーンが閉まっていたことが幸いして2番手まで上がっていただけにもったいなかったですね。

 さて次戦より、今シーズン急きょカレンダーに加わった新しいサーキットでのレースが始まります。第9戦トスカーナGPの舞台となるムジェロは流れるようなレイアウトで、中・高速コーナーがあるうえに上り下りや路面のうねりもあって、とてもダイナミックなので、鈴鹿やスパと並んで最も好きなサーキットのひとつです。

 チームとして初めてレースをするサーキットでの準備は、通常のようにシミュレーターを使ったり、様々なクルマのセットアップをシミュレーションします。またタイヤがどのように使われるのかを考慮して何が問題になるだろうかという仮説を立てます。コーナーのレイアウトによってクルマに要求されるバランスも違ってくるので、そのようなこともシミュレーターを使ったりして確認していきます。

 しかし事前には把握しきれていない情報が多いという状況は避けられないので、FP1で採ったデータを迅速に、そして適格に解析してFP2に向けてクルマを改善することが重要です。このあたりは、ウチのような小規模チームにとっては特にチャレンジになりますが、久々の新しいサーキット、しかもとても挑戦しがいのあるサーキットなので走り出すのが楽しみです。

ケビン・マグヌッセン(ハース)
2020年F1第8戦イタリアGP ケビン・マグヌッセン(ハース)
2020年F1第8戦イタリアGP 同じフランス人ドライバーとしてガスリーの勝利を祝福するロマン・グロージャン(ハース)
2020年F1第8戦イタリアGP 同じフランス人ドライバーとしてガスリーの勝利を祝福するロマン・グロージャン(ハース)


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