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F1 ニュース

投稿日: 2021.01.23 07:30
更新日: 2021.01.22 17:59

【インタビュー】メルセデスF1代表、サクヒールGPの危機を語る「12時間以内に代替ドライバーを見つける必要があった」

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F1 | 【インタビュー】メルセデスF1代表、サクヒールGPの危機を語る「12時間以内に代替ドライバーを見つける必要があった」

──これだけ勝ち続けているにもかかわらず、チームは高いモチベーションを保ち、2020年も圧倒的な強さを発揮しました。強さの秘密はたくさんあると思いますが、あえてひとつ挙げるとすると?

ウォルフ代表:これはあらゆるスポーツに言えることだと思うが、あるチーム、あるいはアスリートが勝利を重ねられないとしたら、そこには必ず理由があるはずだ。そんな中でメルセデスが果たした7連覇という記録は、F1に限らず非常に稀有なものと言っていい。その要因はあなたの想像通り非常に多岐に渡るもので、とてもこの場で言い尽くせるものではない。ただ今回はペトロナス主宰のインタビューでもあり、パートナーとの関係性がいかに重要かについて述べてみたい。

 F1というスポーツは、ドライバーひとりの能力だけでは絶対に勝てないし、チームスタッフの努力だけでもどうにもならない。たった2台のマシンを走らせるために、膨大なパートナー企業のサポートを必要とする。その中でもペトロナスとの協力関係は、直接パフォーマンスを左右するほど重要なものだ。特にここ数年、各メーカーのパワーユニットの性能差がどんどん接近するようになってからは特にね。そんな状況では、エンジンエンジニアと燃料、潤滑油の開発エンジニアとの緊密な協力が絶対に欠かせない。2020年の我々がパワーユニット単体でもライバルたちを凌ぐパフォーマンスを発揮できたのは、ペトロナスのサポートなしにはあり得なかったよ。

──以前から不思議に思っているのですが、あなたの祖国オーストリアはヨーロッパの小国です。にもかかわらずヨッヘン・リントやニキ・ラウダといった世界チャンピオンを輩出し、さらにあなたやヘルムート・マルコ博士などがF1界で重要な位置を占めています。これは、どう説明しますか。

ウォルフ代表:それはオーストリア人たちが昔から、空気の薄い山の中で生き抜いてきたからだ(笑)。というのはもちろん冗談で、この現象に関しては私なりにひとつの仮説を持っている。ただしそれが真実かどうか、確信は持てずにいる。それは、ロールモデルという考えだ。

 あなたもジャーナリストとして長くF1に関わっているから、当然知っていると思う。誰かひとりの傑出したドライバーが出てくると、その例に倣おうと次々にその国から後進が続く現象だ。オーストリアでそのロールモデルの役割を果たしたのは、ヨッヘン・リントだった。生前のリントは単にF1ドライバーという枠を超えて、オーストリア全国民にとってアイコンのような存在だった。人間的にも、ものすごくカリスマ性があったしね。そしてさほど間を置くことなく、ニキ・ラウダが登場した。

 ニキにとってリントはスーパースターで、彼の遺志を継ぐことがニキの力の源泉だったと言っていい。さらにニキの影響を受けてゲルハルト・ベルガーや、アレックス・ブルツが出てきた。彼らの才能とは比べ物にならないが、私もそんな大先輩たちの影響をもろに受けて、F1ドライバーを目指した。残念ながら実現はしなかったがね。

──しかし違う分野で、F1の頂点に立った。

ウォルフ代表:多くの幸運に恵まれてね。確かにドライバー以外にも、F1界にオーストリア人は今も山ほどいる。パドッククラブのケータリングや警備担当会社は、オーストリアの企業が担当している。バーニー・エクレストンの時代には、F1村の半分はオーストリア人だったと言っても大袈裟じゃないだろう。

──リントに始まって、幸福な連鎖反応が起きたということですね。

ウォルフ代表:その通りだ。そしてその鎖が途切れないよう、私も後輩たちに道を切り開いていければと思っているよ。ニキ以来のオーストリア人世界チャンピオンが誕生すれば最高だが、それ以外の分野でもどんどん進出してくれることを願っている。

2020年F1第13戦エミリア・ロマーニャGPで優勝したルイス・ハミルトンを祝福するトト・ウォルフ
2020年F1第13戦エミリア・ロマーニャGPで優勝したルイス・ハミルトンを祝福するトト・ウォルフ


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