使用するにあたって上限のないMGU-Hを利用した回生エネルギーは、毎周使用できるレースのほうが真価が問われる。そのレースでホンダ勢は予選以上にパワフルな走りを披露していた。スタート直後の6周目と7周目にマックス・フェルスタッペンとセルジオ・ペレスのレッドブル・ホンダ勢が相次いで、フェラーリのシャルル・ルクレールをストレートでオーバーテイク。7周目には角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)も、ルノー・パワーユニットを搭載するアルピーヌのフェルナンド・アロンソを抜き去った。
ピットストップで逆転した後、メルセデスにオーバーテイクを許さなかった点も評価できる。
残念ながら、レース終盤にトップを走行していたフェルスタッペンがタイヤトラブルでリタイアしたため、4台入賞はならなかったが、その直前までホンダ勢4台はフェルスタッペンが1位、ペレスが2位、ガスリーは5位、角田も7位と、トップ7を走行していた。ホンダ勢4台がトップ7以上でフィニッシュしていれば、1988年フランスGP以来の快挙だった。それほど、アゼルバイジャンGPでホンダ勢には勢いがあった。
■1988年フランスGP決勝
アイルトン・セナ2位/アラン・プロスト1位
ネルソン・ピケ5位、中嶋悟7位
それは、リタイアしたフェルスタッペンにレース後、ホンダのパワーユニットについて尋ねたとき、彼は穏やかな表情でこう答えてくれたことでもわかる。
「今日、25点を失ったことは残念だけど、僕たちが苦手としていたコースで速かったことがわかったことはいいことだ。ストレートラインスピードはウイングレベルも関係しているから単純には言えないけど、この週末の走りを見れば、今年のホンダのパワーユニットがメルセデスとほぼ互角であることは間違いない。昨年から今年にかけて、彼らは素晴らしい仕事をしてきた。ただし、バクーは少し特殊なサーキットだから、普通のサーキットへ行ったら、メルセデスはまだまだ強敵だ。気を緩めることなく、最終戦まで戦い続けるよ」
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■ホンダ辛口コラム F1第6戦:予想できないタイヤトラブルでワンツーフィニッシュが台無しに
