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F1 ニュース

投稿日: 2021.06.17 14:22
更新日: 2021.06.17 14:25

【角田裕毅を海外F1ライターが斬る】第6戦:突然の大きな飛躍。この調子でレッドブルを悩ませる存在になれ

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F1 | 【角田裕毅を海外F1ライターが斬る】第6戦:突然の大きな飛躍。この調子でレッドブルを悩ませる存在になれ

 だがバクーの予選は、赤旗に大きく影響される。そのため大事なのは、第一に、自分が赤旗の原因を作らないこと、第二に、中断されないうちに速いタイムを記録することだ。

 予選Q1では、ランス・ストロールとアントニオ・ジョビナッツィがターン15で壁にぶつかったものの、彼らより経験のない角田は、ガスリーから0.2秒落ちの11番手タイムでQ1を通過した。

 Q2では、今度はバクーでの優勝経験があるダニエル・リカルドがクラッシュ。一方で角田は冷静に走り、1回のランだけで4番手タイムをたたき出してみせた。Q2最速タイムからわずか0.029秒差、ガスリーより0.3秒も速いタイムだ。

 そして勝負のQ3。角田は2回目のランでターン3の壁にぶつかってしまった。しかしその前に出したタイムで8番手を確保できた。アロンソとバルテリ・ボッタスに勝ったことは、彼にとって大きな収穫だろう。

角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)
2021年F1第6戦アゼルバイジャンGP 角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)

 日曜にも理想的といっていいほどスムーズなレースができた。スタートで順位を失ったり、ピットストップでセバスチャン・ベッテルに前に出られるなど、いろいろありながらも、マックス・フェルスタッペンのタイヤがバーストした後には6位につけていた。

 確かに最後の2周のスプリントでポジションを落としたのは残念だった。彼自身、そのことで自分に腹を立てていたが、それも、彼が野心家である証拠だ。すべてをうまくやれれば自分にどれだけのことができるのか、彼は知っているのだろう。

 トストが率いる軍隊での最初の1週間について、角田が楽しくなかったと言っていたと聞いて、私は大笑いした。私が教育係なら、軍曹のように仕切りまくることなく、自由に正しい方向へと導いてあげられるのに。だが、角田についての決定権を握っているのは、フランツとマルコ爺さんだし、彼らは外から口出しされるのを好まない。角田は今の環境のなかで精一杯のことをしていくしかない。

 彼にはこの調子で才能を証明し続けていってほしい。そうすればレッドブルは、2023年あるいは2024年のドライバー選択に大いに頭を悩ませることになるだろう。

ヘルムート・マルコ(レッドブル)とフランツ・トスト(アルファタウリ)
ヘルムート・マルコ(レッドブル)とフランツ・トスト(アルファタウリ)

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筆者エディ・エディントンについて
 エディ・エディントン(仮名)は、ドライバーからチームオーナーに転向、その後、ドライバーマネージメント業務(他チームに押し込んでライバルからも手数料を取ることもしばしばあり)、テレビコメンテーター、スポンサーシップ業務、講演活動など、ありとあらゆる仕事に携わった。そのため彼はパドックにいる全員を知っており、パドックで働く人々もエディのことを知っている。

 ただ、互いの認識は大きく異なっている。エディは、過去に会ったことがある誰かが成功を収めれば、それがすれ違った程度の人間であっても、その成功は自分のおかげであると思っている。皆が自分に大きな恩義があるというわけだ。だが人々はそんな風には考えてはいない。彼らのなかでエディは、昔貸した金をいまだに返さない男として記憶されているのだ。

 しかしどういうわけか、エディを心から憎んでいる者はいない。態度が大きく、何か言った次の瞬間には反対のことを言う。とんでもない噂を広めたと思えば、自分が発信源であることを忘れて、すぐさまそれを全否定するような人間なのだが。

 ある意味、彼は現代F1に向けて過去から放たれた爆風であり、1980年代、1990年代に引き戻すような存在だ。借金で借金を返し、契約はそれが書かれた紙ほどの価値もなく、値打ちのある握手はバーニーの握手だけ、そういう時代を生きた男なのである。


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