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F1 ニュース

投稿日: 2021.08.10 17:51
更新日: 2021.08.10 17:52

観客動員数の制限なく開催されたF1イギリスGP。新フォーマットは盛り上がりを見せるも課題あり

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F1 | 観客動員数の制限なく開催されたF1イギリスGP。新フォーマットは盛り上がりを見せるも課題あり

 金曜の予選でQ3に進出したドライバーのなかではボッタスがソフトを選択したが、彼の場合はユーズドタイヤである。予選ではソフトの使用が義務付けられるため、Q2で予選を終え、手元に新品のソフトを残したドライバーのほうが、スプリント予選でソフトに賭ける“旨味”が大きくなるのだ。シルバーストンのようなコースでは3周ユーズドと新品の差は大きい。

 レース形式で行われるスプリント予選では、レースに向かってより“現実的”なデータを収集することも可能だ。ミディアムの第1スティントでメルセデスに迫られることなく首位を走ったシャルル・ルクレール(フェラーリ)は、スプリント予選の経験をフルに活かしてドライビングしていた。

 ただしチームにとっては、金曜のFP1だけで予選、スプリント予選、レースを見越したセットアップを決定しなくてはならないのが難点。金曜の予選以降はパルクフェルメルールが適用されるため、土曜のFP2で改善方法を見出してもマシンのセットアップを変更することができず、FP1の1時間だけですべてをこなすのは、小さなチームほど負担が大きくなる。

 今シーズン3戦で予定されているスプリント予選(2戦目はイタリアGP、3戦目は未定)はトライアルであり、来シーズン以降も採用される場合にはルールを改善し、よりシェイプアップした形式で実施されるはずだ。

2021年F1第10戦イギリスGP スプリント予選のスタート
2021年F1第10戦イギリスGP スプリント予選のスタート

 たとえば、予選専用の特殊なデバイスを禁止しつつパルクフェルメは土曜のスプリント予選以降とすれば、金曜のFP1と予選はより純粋に1周の速さを探求するセッションになる。レースを中心に考えるのは土曜のFP2以降で、スプリント予選は100㎞で完結すると同時に、レースの第1スティントの意味合いを持つことになる。

 2003年から施行されている現行のパルクフェルメルールは、コスト増大に歯止めをかけ、予選用エンジンの使用を不可能にし、ルールの隙をついたマシン変更を抑え込む意味を持っていた。しかしチーム予算の上限が決められ、パワーユニットの年間使用基数が3基に固定された今日では、その意味は薄れている。

 作業を行う要素もそのための人員もそろっているのに、走行初日の夕方からマシンを触れることができない状況は歯がゆすぎる。パルクフェルメは土曜のスプリント予選以降としても、FIAの車検による公正さは充分に保たれるはずだ。

 また、レースでのタイヤ選択が自由になったことによって、今回はピットスタートのセルジオ・ペレス(レッドブル・ホンダ)以外の全員がミディアムを選んだ。作戦のバリエーションはスティントの長さのみになり、オーバーテイクの難しいシルバーストンではあちこちでDRSトレインが発生した。2022年型マシンのオーバーテイクのチャンスを考慮に入れつつ、これも再考の余地がある課題だ。

 今回は、初めての試みという点もファンの盛り上がりに貢献したが、この先、スプリント予選のフォーマットが習慣化しても、各チームの作戦が定番化してしまうことは避けなくてはならない。そしてもっとも大切なのは、ファンの気持ちを考えるならこれ以上ルールを複雑化しないことだ。

2021年F1イギリスGPで披露された2022年型F1マシンのショーカー
2021年F1イギリスGPで披露された2022年型F1マシンのショーカー

※この記事は本誌『auto sport』No.1557(2021年7月30日発売号)からの転載です。

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