シーズン終盤、フランツ・トストがマルコを角田から遠ざけたという話を聞いた。そもそもその時期のマルコは、マックスを褒め称え、チェコにプレッシャーを与えるのに忙しかったので、アルファタウリのことを考える余裕はなかっただろう。それが奏功して、終盤3戦に、角田は最大限のパフォーマンスを発揮することができた。ダイヤモンドの原石であることを示したのだ。

 大勢の若手ドライバーの面倒を見て、彼らの技術を鍛え上げ、ワールドチャンピオン候補にまで育て上げてきた私は、若き裕毅に何が必要なのか知っている。だが、マルコがそばにいるなら、その必要なものを得られる保証はない。

 相手に過剰に威圧的な態度をとることが効果をもたらすケースはほとんどない。裕毅に必要なのは、間違ったことをしたときにそれを知的かつ建設的なやり方で指摘してくれる信頼できる人物だ。私が聞いたところでは、彼はよく考えずに話してしまうたちだという。それは悪いことではないと私は思うが、いずれにしても成長を助けてくれる存在は必要だろう。たとえば両親がそばにいるようにするとか、彼が信頼し尊敬する年上の人物がファエンツァで暮らすようにするとか、何か手があるはずだ。

 私は角田はダイヤモンドの原石だと思っている。輝かせるためには慎重に取り扱う必要がある。F1で優勝する力のないドライバーであれば、アブダビの週末であれほどのパフォーマンスを見せることはできないはずだ。今彼に必要なのは、あのレベルのパフォーマンスを1シーズン3回か4回ではなく、15回発揮できるようになる術を見つけるためのサポートである。

2021年F1第22戦アブダビGP チームメンバーと記念撮影をする角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)
2021年F1第22戦アブダビGP チームメンバーと記念撮影をする角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)

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筆者エディ・エディントンについて
 エディ・エディントン(仮名)は、ドライバーからチームオーナーに転向、その後、ドライバーマネージメント業務(他チームに押し込んでライバルからも手数料を取ることもしばしばあり)、テレビコメンテーター、スポンサーシップ業務、講演活動など、ありとあらゆる仕事に携わった。そのため彼はパドックにいる全員を知っており、パドックで働く人々もエディのことを知っている。

 ただ、互いの認識は大きく異なっている。エディは、過去に会ったことがある誰かが成功を収めれば、それがすれ違った程度の人間であっても、その成功は自分のおかげであると思っている。皆が自分に大きな恩義があるというわけだ。だが人々はそんな風には考えてはいない。彼らのなかでエディは、昔貸した金をいまだに返さない男として記憶されているのだ。

 しかしどういうわけか、エディを心から憎んでいる者はいない。態度が大きく、何か言った次の瞬間には反対のことを言う。とんでもない噂を広めたと思えば、自分が発信源であることを忘れて、すぐさまそれを全否定するような人間なのだが。

 ある意味、彼は現代F1に向けて過去から放たれた爆風であり、1980年代、1990年代に引き戻すような存在だ。借金で借金を返し、契約はそれが書かれた紙ほどの価値もなく、値打ちのある握手はバーニーの握手だけ、そういう時代を生きた男なのである。

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