■チャンピオン不在がF1全体に与えるダメージ

 ロズベルグはようやく、ハミルトンに打ち勝った。だが、彼は単にラッキーなチャンピオンだったのだろうか? レーシングドライバーとしての、最後の一歩を踏み出していただろうか? このタイトル獲得が、2017年にハミルトンと1対1でチャンピオン争いをするうえでの、大きなプレッシャーになったのではないのか? ハミルトンは、自身の努力が無価値になったかのような衝撃的な敗北に、どう反応するのだろうか?

 これらの質問に対する決定的な答えは、我々には出せない。そしてF1ファンたちは、まさしく不服に思うだろう。とりわけ、メルセデスがふたりのエースドライバーをコントロールできないという弱点を、隠す機会を得てしまったことに。

2016年F1第21戦アブダビGP 表彰式
2016年F1第21戦アブダビGP 表彰式

 新世代のシルバーアローは、もしかしたら過去3年間に走ったマシンと同等の能力を持っているかもしれない。もしメルセデスが、これまでと同様にターボ・ハイブリッド時代においての優勢を保ち、万が一ハミルトンが明確なナンバー2を引き連れて走ることになれば、F1はセバスチャン・ベッテルやミハエル・シューマッハーレベルの独走を見ることになるだろう。これは例え1シーズンか2シーズンに限るものだったとしても、F1の健全性にとって良いものではない。F1は人々の声に、耳を傾けるべきだ。

 チャンピオンの不在は、F1界全体にとっての損失となる。特に2016年末で、F1の看板役だったジェンソン・バトンがレギュラードライバーの座から降り、長い経歴と人気を誇ったフェリペ・マッサも引退する(かもしれない)ため、宣伝効果的な観点でも良いとは言えない。厳密に言えばドイツ人として認識されていなかったかもしれないが、ドイツ人チャンピオンが退き、2017年にはドイツGPも再度のカレンダー落ちを免れず、F1は大打撃を受けている。

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