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F1 ニュース

投稿日: 2017.01.22 12:12
更新日: 2017.01.22 12:13

【特集バルテリ・ボッタス】レースに一目惚れした“普通の”少年が王者メルセデスに選ばれるまで

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F1 | 【特集バルテリ・ボッタス】レースに一目惚れした“普通の”少年が王者メルセデスに選ばれるまで

■カート時代にプロ意識に目覚める

 ボッタスは、幼い頃に抱いたこの長期的戦略の基礎をフィンランド南部にあるカート場で築いた。

 彼の父親は、息子に対して幾度となく「本当にゴーカートがしたいのか」と尋ねた。彼はそう聞かれるたびに激しくうなずき、ついに父親は自身の息子がこのスポーツにおいて何か成し遂げたいことがあるのだと気がついた。

 デビュー戦の結果は3位。そして次のレースでボッタスは優勝してみせた。

「学校から帰ってくるやいなや、カート場に行けるかどうか尋ねたものだよ」ボッタスはそう振り返る。「両親にノーと言われた記憶はないね」

 彼が12歳のとき、キャリアに転機が訪れた。何年もレースをしてきた後に、ついにフィンランド選手権に参加することになったのだ。

 しかし小柄なライバルたちに重量的なアドバンテージがあったため、ボッタスは勝機を失い、フラストレーションを感じるようになってしまった。勝利への意志に突き動かされた彼は、是正措置を取った。

 彼はトレーニングを始めて、体重を数キロ落とし、翌年の選手権でチャンピオンになった。

「夢を叶えるためにはできることすべてをしなくちゃいけなかったんだ。これこそ僕がプロになったターニングポイントだね。このときからレースを趣味や娯楽以上のものだと思い始めたのさ」

■たゆまぬ努力でF1デビューを勝ち取る

 ハードワークと究極の目標、すなわち彼の“夢”が達成可能であるという強い信念が、ボッタスはキャリアを通して持ち続けている一貫したテーマだ。

 この目的のために、彼は自動車整備士の見習いになったこともある。ただし、自分が目指す“ひとつの道”からそれるつもりは全くなかった。

「僕は常にレーシングドライバーになりたかったんだ。メカニックじゃなくてね。でもあそこでの訓練は確実に役に立ったよ。F1マシンに搭載されている技術というのは高度に特殊化されていて、複雑なものなんだ。だから技術について理解すればするほど、ドライバーとして自分のためになるのさ」

 このレベルの理解が彼にとって有益だったことは、様々なジュニアシリーズにおいて既に証明されている。彼は17歳という比較的若い年齢でフォーミュラ・ルノー2.0 NECに初参戦し、その年に2勝を挙げた。それに続いてフォーミュラ・ルノー2.0 NECとフォーミュラ・ルノー2.0 ユーロカップでそれぞれタイトルを獲得する。
 2009年と2010年、誉れ高きマスターズF3において2年連続で優勝を飾ったことで、彼の前にF1のサポートレースであるGP3への扉が開かれた。そして参戦初年度の2011年にいきなりタイトルを獲得してみせたのだ。

2010年マスターズF3 バルテリ・ボッタスが優勝
2010年マスターズF3 バルテリ・ボッタスが優勝

 その後、F3ユーロシリーズに昇格したボッタスは、キャリアで初めてメルセデスエンジンを搭載したマシンでレースを戦った。

 これによってボッタスはウイリアムズの興味を引き、テストドライバーとしてチームに加入することになった。

 ファクトリーを訪れて情報をできる限り吸収するなど、彼はこの新しい役割をできる限り利用した。

 F1で走るという夢を追い求めるなかで、彼は成り行きには任せないということを自らの肝に銘じた。F1デビューを果たすことが決まった時ですら、彼はその栄光に満足しなかった。

「夢の最初の部分は達成できたから、その後何日かは恍惚としていたよ。でもすぐに最初のレースに集中し、徹底的に準備を行ったんだ」


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