■評価 7/10:スプリントデーで輝いたラッセル

ジョージ・ラッセル(メルセデス):予選11番手/スプリント・シュートアウト4番手/スプリント4番手/決勝8位
アレクサンダー・アルボン(ウイリアムズ):予選13番手/スプリント・シュートアウト7番手/スプリント9番手/決勝12位
エステバン・オコン(アルピーヌ):予選12番手/スプリント・シュートアウト13番手/スプリント18番手/決勝15位

 ジョージ・ラッセル(メルセデス)にとって週末のハイライトは、土曜のスプリントデーだった。スプリント・シュートアウトでもスプリントでも4番手を獲得した。一方で、金曜と日曜はあまりうまくいかなかった。金曜予選ではQ2で敗退、日曜決勝ではハミルトン、ストロールとのバトルに敗れ、8位にとどまった。

2023年F1第4戦アゼルバイジャンGP ジョージ・ラッセル(メルセデス)
2023年F1第4戦アゼルバイジャンGP ジョージ・ラッセル(メルセデス)

 アレクサンダー・アルボン(ウイリアムズ)は、トップスピードが重要なトラックで有利に戦い、ポイントを狙いたいと考えていた。しかしスプリント・シュートアウトで見事に7番手を獲得した後、スプリントではアストンマーティン勢に対抗できず9番手に後退。決勝では1周目にピアストリとの接触でマシンのフロント部分にダメージを負い、全力を尽くしてディフェンスしたものの、12位が精いっぱいだった。

 エステバン・オコン(アルピーヌ)が、チームメイトとは異なり、冷静に戦い続けたことを評価すべきだろう。ギヤボックスのトラブルでフリープラクティスでは十分に走れず。大規模なアップグレードが導入されたが、適切なセットアップがなされていないマシンで、予選12番手を獲得。サスペンションセッティングを変更するというギャンブルをしたことで、ふたつのレースをピットレーンからスタートすることになり、スプリントをテストとして扱い、日曜の決勝に賭けた。終盤までセーフティカーを待ったが、チャンスは訪れず、オコンは15位にとどまった。

■評価 6/10:不調のサインツがダメージリミテーション

ランス・ストロール(アストンマーティン):予選9番手/スプリント・シュートアウト9番手/スプリント8番手/決勝7位
カルロス・サインツ(フェラーリ):予選4番手/スプリント・シュートアウト5番手/スプリント5番手/決勝5位
ピエール・ガスリー(アルピーヌ):予選19番手/スプリント・シュートアウト19番手/スプリント13番手/決勝14位
周冠宇(アルファロメオ):予選16番手/スプリント・シュートアウト16番手/スプリント12番手/決勝リタイア
ケビン・マグヌッセン(ハース):予選18番手/スプリント・シュートアウト14番手/スプリント11番手/決勝13位

 ランス・ストロール(アストンマーティン)は、両レースでポイントを獲得したものの、週末を通してアロンソにはかなわなかった。スプリント・シュートアウトではQ3に進出するためにアロンソからトウをもらう必要があった。土曜のQ3でアロンソとの差が非常に小さかったのは、アロンソのDRSが動かなかったからだった。ストロールは日曜には、リスタートでラッセルに勝って、最終的に7位を獲得した。

2023年F1第4戦アゼルバイジャンGP ランス・ストロール(アストンマーティン)
2023年F1第4戦アゼルバイジャンGP ランス・ストロール(アストンマーティン)

 カルロス・サインツ(フェラーリ)の週末も、ストロールと似たようなストーリーだった。サインツは、自分で認めていたように、マシンに自信を持って乗ることができず、バクーの狭いコースを、ルクレールのようなスピードで攻めることができなかった。チームメイトほどの速さがなかったことは残念だったが、自分が苦しんでいることを正直に認め、自分の限界を超えてウォールにヒットするようなことがなかったのは立派だった。そうして5位を2回獲得し、困難な週末においてダメージを最小限にとどめることができた。

2023年F1第4戦アゼルバイジャンGP シャルル・ルクレールとカルロス・サインツ(フェラーリ)
2023年F1第4戦アゼルバイジャンGP シャルル・ルクレールとカルロス・サインツ(フェラーリ)

 ピエール・ガスリー(アルピーヌ)はレースでは悪くなく、スプリントを17番グリッドからスタートし、13番手まで挽回した。ただ、予選でのミスはいただけなかった。プラクティスでトラブルに見舞われた後、メカニックが直したマシンでQ1で早々にクラッシュしたのだ。今回マシンにアップグレードが入っていたため、周回を重ねてこれについて学ぶことが重要であり、経験豊富なドライバーとしては、許されるミスではない。スプリント・シュートアウトでもテクニカルトラブルが発生、Q1で敗退することに。しかしスプリントでも日曜決勝でもしっかり順位を上げてフィニッシュした。

周冠宇(アルファロメオ)にとって、今回最良の日は土曜のスプリントデーだった。スプリント・シュートアウトでは、Q1敗退とはいえ、チームメイトのバルテリ・ボッタスに勝ち、そしてスプリントでは12番手に浮上。しかし日曜日には、セーフティカー出動中のピットストップに時間がかかり、ポイント圏外を走り続けた後に、マシンのオーバーヒートの問題で、リタイアしなければならなくなった。

 ハースにとっては良い週末ではなかった。ケビン・マグヌッセン(ハース)は、フリープラクティスでパワーユニット(PU)トラブルのために貴重な走行時間を失った後、金曜予選でQ1敗退、スプリント・シュートアウトではQ2に進み、スプリントで11番手となった。日曜決勝では、ターン2でボッタスと接触、フロントウイングに小さなダメージを負ったが、アグレッシブな動きによりポジションを上げた。しかしトップスピードが劣っていることでアルボンを追い抜くことができず、13位でフィニッシュした。

■評価 5/10:ヒュルケンベルグ、ロングスティントの戦略実らず

ニコ・ヒュルケンベルグ(ハース):予選17番手/スプリント・シュートアウト12番手/スプリント15番手/決勝17位
バルテリ・ボッタス(アルファロメオ):予選14番手/スプリント・シュートアウト17番手/スプリント16番手/決勝18位
ローガン・サージェント(ウイリアムズ):予選15番手/スプリント・シュートアウト15番手/スプリント出走せず/決勝16位

 ニコ・ヒュルケンベルグ(ハース)は、スプリントで高いタイヤデグラデーションに悩まされたため、メインレースに向けてセットアップ変更を行い、ピットレーンスタートとなった。オコンと同じく、ヒュルケンベルグはハードタイヤで終盤まで走り続け、セーフティカーを待ったが、望む展開にはならず、残り2周の段階でピットに入り、17位に沈んだ。

2023年F1第4戦アゼルバイジャンGP ニコ・ヒュルケンベルグ(ハース)
2023年F1第4戦アゼルバイジャンGP ニコ・ヒュルケンベルグ(ハース)

 バクーで優勝経験のあるバルテリ・ボッタス(アルファロメオ)は、金曜予選ではQ2に進出し14番手に。しかしスプリントでのソフトタイヤのギャンブルは裏目に出て、ポジションを落とす結果になった。日曜決勝では、1周目にピアストリにターン2でヒットされ、アンチストールが作動したことでマグヌッセンに追突されて、ディフューザーがダメージを負った。その結果、ボッタスにとって、残りの50周は長く苦痛なレースになってしまった。

 ローガン・サージェント(ウイリアムズ)は、今回も、見事なパフォーマンスを見せる一方で、ミスを犯した。予選Q1で11番手、Q2で15番手と速さを見せたものの、スプリント・シュートアウトのQ1後半にクラッシュ。マシンが破損したため、スプリントを欠場しなければならなかった。日曜決勝は慎重に走ったが、後方の16位でレースを終えた。

■評価 1/10:忘れてしまいたい週末を送ったデ・フリース

ニック・デ・フリース(アルファタウリ):予選-番手/スプリント・シュートアウト20番手/スプリント14番手/決勝リタイア

 ニック・デ・フリース(アルファタウリ)にとって忘れたい週末になった。FP1では驚きの6番手を獲得したが、予選序盤に愚かなクラッシュをし、最後尾グリッドに。土曜以降も物事はうまくいかず、スプリント・シュートアウトでは最下位、スプリントでは1周目に角田に接触、日曜のメインレースでは9周目に再びクラッシュしてリタイアした。

2023年F1第4戦アゼルバイジャンGP ニック・デ・フリース(アルファタウリ)がリタイア
2023年F1第4戦アゼルバイジャンGP ニック・デ・フリース(アルファタウリ)がリタイア

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