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特集

投稿日: 2020.12.07 19:00
更新日: 2020.12.07 19:16

モータースポーツ基礎用語


F1 | モータースポーツ基礎用語

知っておきたいF1専門用語:マシン各部名称

ICE

『Internal Combustion Engine』の略で、直訳すれば内燃機関。一般的に言えばエンジンである。排気量1.6LのV型6気筒直噴ターボエンジンで、ターボは1基、Vバンク角は90度に規定されている。最高回転数は1万5000rpmに規定されているが、最大燃料流量が1万500rpm時に100kg/hと規定されているので、2013年までの自然吸気エンジン時代のように、高回転まで回すうま味はない。限られた燃料をいかに効率良く出力に変換するかという熱効率の戦いになっている。

エキゾーストマニフォールド

排気管。ターボエンジンの場合はエンジンの排気ポートから、ターボチャージャーのタービンハウジングまでを、耐熱性の高い合金で製作したパイプでつなぐ。新規定が導入された2014年はパッケージングを重視してコンパクトに設計するのが主流だったが、15年以降は性能を重視し、等長かつ長めの設計に転じている。

MGU-K

『Motor Generator Unit – Kinetic』の略で、運動エネルギー回生システム用モーター/ジェネレーターユニットのこと。ブレーキング時の運動エネルギーを回生し、電気エネルギーに変換する。最高出力は120kWに定められており、1周あたりの回生量は最大2MJ、放出量は最大4MJに規定されている。

サージタンク(プレナムチャンバー)

エンジンの燃焼に使う空気を一時的に溜めておく空間。インタークーラーの下流にあって、吸気ファンネルの上流にある。空気の流れには勢いがあるので、広い空間で流れを整え、6つのシリンダー/ピストンに均等に行き渡るようにする。プレナムチャンバーとも呼ぶ。

MGU-H

『Motor Generator Unit -Heat』の略で、熱エネルギー回生システム用モーター/ジェネレーターユニットのこと。排気のエネルギーを利用してターボチャージャーのタービンを回転させると、同軸にレイアウトされたMGU-Hが駆動され、発電する。MGU-Kは回生量と放出量が規制されているがMGU-Hは規制されておらず、出力の制限もない。MGU-Hをいかに使いこなすかが、パワーユニット開発の焦点となっている。

テールパイプ

ターボエンジンの場合、ターボチャージャーより下流のパイプをテールパイプと呼ぶ。高速で排出される排気を空力的に利用できないよう、テールパイプ後端の位置はレギュレーションで厳密に規定されている。

ディフューザー

空力デバイスのひとつで、フロア後端に設けられた拡散装置。フロア下を通過する空気の抜けを良くする(と流れが速くなり、ダウンフォースが増大する)のが狙い。

リヤクラッシャブルストラクチャー

フロントのクラッシャブルストラクチャー(衝撃吸収構造)はノーズを兼ねているが、リヤは独立して設置されている。フロントと同様で、衝突した際のエネルギーを効果的に吸収するのが目的。後端にレインライトを搭載する。

アッパーアーム

F1マシンのサスペンションはΛ形をしたアームを上下に2本配したダブルウィッシュボーン式を採用する。その上側のアームがアッパーアーム。ウィッシュボーンは鳥のwishbone(叉骨)に形が似ていることからの命名。アッパーウィッシュボーンとも呼ぶ。

ロワアーム

上下に2本配されたサスペンションアームの下側のアーム。

オンボードカメラ

車両に搭載されたテレビ放映用のカメラ。ノーズ脇やインダクションポッド(ヘルメットの後方上部にある、エンジン吸気などを取り込む開口部)の脇に、カメラを搭載するハウジングを設置することが義務づけられている。空力的に利用できないように規定されているが、それでもなんとか空力的に利用しようとするのがF1チームというものだ。

ターニングベイン

直訳すれば、曲がった羽根。バージボードを指して使う場合もあるし、ノーズから吊り下がったアイテムを指す場合もある。どちらも、空気の流れを制御し、ダウンフォース発生に結びつけるのが目的。

バージボード

形状が同名の建築装飾に似ていることからの命名で、フロントタイヤとサイドポンツーンの間に設置。ディフレクターやターニングベインとも呼ばれる。フロントセクションで制御した空気の流れを受け、さらにバージボードで流れを制御、あるいは強化し、ダウンフォース発生に結びつける。

ポッドウイング

サイドポンツーンの脇に設置された空力デバイス。フロントタイヤで発生した乱れた空気がリヤに向かわないようにすると同時に、サイドポンツーン側面に沿ってクリーンな空気が流れるようにする役割を担う。

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