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特集

投稿日: 2020.12.07 19:00
更新日: 2020.12.07 19:16

モータースポーツ基礎用語


F1 | モータースポーツ基礎用語

知っておきたいF1専門用語:タイヤ、エンジン、サーキット

タイヤ用語

コンタクトパッチ

タイヤの路面に対する接地面のこと。走行状況によらず常にコンタクトパッチが最大になるように走らせたい。

サーマルコントロール

タイヤの温度管理。F1のタイヤは小さな温度変化でその特性が大きく変わるので、保管中のみならず、走行中もシビアに温度を管理する必要がある。適正温度に達しない場合は強めに減速したり、ウィービング(蛇行)したりして熱を入れる。

スローパンクチャー

デブリ(パーツの破片などの異物)を踏んだり、ホイールが損傷したりするなど、何らかの理由で空気が徐々に抜ける現象。放置しておくとタイヤ破損など大事に至る。

チャンキング

走行中にトレッド面の一部が欠落して飛散する現象。トレッドゴムの過度な発熱によって生じる。

デグラデーション

性能劣化のこと。いわゆる、タイヤが「タレ」た状態。コンパウンドゴムの温度異常に起因するもの、疲労によるものなど、原因はさまざま。結果的に、ゴムが本来備えている性質を失って性能が落ちる現象。

デラミネーション

トレッド面が剥離する現象。デブリを踏んだことによって起きたり、構造に問題があって起きたりするなど、原因はさまざま。

プライム/オプション

グランプリに持ち込まれる3種類のコンパウンドのうち、メインで使うことが想定される硬い方のスペックをプライム、柔らかい方のスペックをオプションと呼ぶ。

バースト

空気が一気に抜けてパンクする状態。トレッドが飛び散るなど、激しい破壊を伴う。

フラットスポット

ハードブレーキングなどによってタイヤがロックすることで、トレッド面の一部が削り取られてできてしまう平らな部分。このまま走行すると激しいバイブレーションが発生するので、最悪交換が必要となる。

ブリスター

トレッド面に細かな気泡が発生する現象。トレッド部の異常発熱が続いた結果、トレッドコンパウンドに配合された揮発性の高い物質が沸騰し、気化することで起きる。現行ピレリのドライタイヤの場合、ブリスターが発生しても大きなパフォーマンス低下には至らない様子。

マーブル

路面に転がったタイヤかすのこと。その様子がビー玉(marbles)に似ていることからそう呼ばれるようになった。

ラバーグリップ

F1マシンが走行を続けることで、タイヤのトレッドゴムが路面にこすりつけられて摩擦係数が高くなり、グリップしやすくなる。そのグリップを指してラバーグリップと言う。また、ゴムが路面に載った状態をラバーコーティングと言う。走行セッションが進行するにつれ、ラバーグリップは上がる。また、雨が降るとゴムが流されてしまい、走り出す前の状態に戻ってしまう。

ピレリC1~C5タイヤ

ピレリが提供している5種類のスリックコンパウンド。C1が最も硬く、C5が最も軟らかいコンパウンドとなる。1グランプリに3種類が使用され、最もハード寄りのタイヤがホワイト、ミディアムはイエロー、ソフトはレッドのカラーリングが施される。

エンジン用語

デプロイメント

『deployment』は本来、「配置」「展開」を意味するが、F1ではERS(エネルギー回生システム)で回生した電気エネルギーの量やその配分(どこでどう効率的に使うか)、またはエネルギーを放出することを指す。

MGU-K(運動エネルギー回生システム)による回生/放出量は規則で規定されているが、MGU-H(熱エネルギー回生システム)の回生/放出量は規制されておらず無制限のため、MGU-Hをいかに効率良く使うかが、現行規則での開発の方向性となっている。ストレートの後半で電気エネルギーによるパワーアシストが切れて失速してしまうことを「デプロイ切れ」と言ったりする。

パーシャル回生

MGU-Kは運動エネルギーの回生に使うだけでなく、加速時に発電を行い、エネルギーを蓄える使い方もする。これをホンダは「パーシャル回生」と呼んでいる。スロットルが(全開ではなく)パーシャルの領域で回生(発電)を行うための命名だ。

発電のために燃料を余計に消費するのは無駄のように感じるかもしれないが、電気エネルギーとして回収しておき、そのエネルギーを後で放出(デプロイ)した方がラップタイム短縮に効果があることが判明したがゆえの制御。加速時にドライバーが期待する加速力を発生させながら、それ以上のエンジン出力を発生させておき、余ったエネルギーでMGU-Kによる発電を行っている。

バッフルプレート

走行中の燃料の片寄りを防ぐため、燃料タンク内に設置する仕切り板。加減速やコーナリングによって燃料が片寄ることにより、ポンプが燃料を吸えなくなるのを防ぐため。

プレチャンバー

メインの燃焼室の上部に設けた副室のこと。エンジンの熱効率を飛躍的に高めるリーンバーン燃焼を実現する技術のひとつ。エンジンの熱効率を向上させるには燃料と空気の比率である空燃比をリーン(燃料に対する空気の比率を高めていく)にする必要があるが、リーンにしていくほど着火~燃焼が難しくなる。そこで、メインの燃焼室(主室)の上部に小さな部屋(プレチャンバー)を設け、ここで着火させ、主室との間にある微細な孔から噴きだした噴流で、極めてリーンな混合気を燃焼させる。

サーキット用語

インフィールド

コースレイアウトの内側にある区間を指す。2000年から07年まで開催されたインディアナポリス(アメリカ)のような、オーバルコースの内側に設けられたタイトコーナーが連続した区間は、典型的なインフィールド。

エスケープゾーン

コースの外側に設けられた、コーナーを曲がれなかったり、止まりきれなかったりした際の退避エリア。

グラベル

コースアウトした車両の速度を効果的に落とすため、砂や砂利を敷き詰めたエリア。速度を落とす効果は高い半面、一度はまるとタイヤが空転し脱出できなることが多い。ランオフエリア、サンドトラップなどとも表現する。

パドック

ピット裏のスペース。元々は競馬用語で、競争開始前に競走馬を歩かせる場所。ファンに馬の状態を観察してもらう目的もある。F1のパドックにはトランスポーターやチームホスピタリティが並んでいる。メディアがドライバーやチーム関係者を取材したり、ゲストがホスピタリティでくつろいだり、チーム関係者が食事をしたり、ミーティングを行ったりする。サーキットの社交場だ。

パルクフェルメ

車両保管所。レースを終えた車両が止まる場所で、車検場の近くにある。検査が終わると保管が解除される。それまでは関係者以外立ち入り禁止。優勝したドライバーが喜びを爆発させる場所でもある。

ピット

車両の組み立てや整備を行う場所。ガレージとも言う。

ホワイトライン

ピットレーンの出口と入口にある白い線。ピットレーンから本コースに合流する際、このラインをまたぐ(カットする)とペナルティを科される。本コースを高速で走る車両と交錯し、危険だからだ。一方、ピットレーン入口に向かう際、ホワイトラインをカットしても(危険ではないため)罰せられない。

ピットレーン

ピットと本コースの間に設けられる ピットレーンは、用途別にレーンが分けられている。本コース寄りのピットウォール側に設けられたレーンはファストレーン(高速レーン)で、80㎞/h の制限速度(モナコなどの市 街地コースは 60㎞/h)で走ることができる。ピット側のインナーレーンはタイヤ交換などの作業用スペースだ。ピットレーンに進入した車両は まずファストレーンを走り、自チームのピットに近づいたところでインナーレーンに進路を変える。

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