小林可夢偉は、フェラーリでのWECのシートを蹴って、資金を持ち込んでケータハムF1と契約したことを、フェラーリからもその他の人々からも愚かだと言われるが、それでもどうしてもF1に戻りたかったと語った。
可夢偉はザウバーで3年間F1に参戦し3位表彰台を獲得したものの、2012年末でシートを失い、2013年はフェラーリのセミワークス的チームのAFコルセでWECに参戦した。
2014年に向けてフェラーリから契約延長のオファーを受けていたにもかかわらず、可夢偉は、F1シートを獲得するための資金を募る「KAMUI SUPPORT」で集まった多額の資金などを持ち込むと共に無償で走るという提案を行い、ケータハムと契約した。
ドライバーとして安定したキャリアを築けるだろうシートを捨てて、昨年F1で最下位ランキングのケータハムに金を支払って契約したことを、フェラーリを含め他人からは愚かであると言われるが、自分にとってはこの決断しかなかったと、可夢偉は述べている。
「僕にとっては、F1ドライブのチャンスが訪れれば、それは絶対につかむ必要があるんです」と可夢偉は英AUTOSPORT誌のインタビューにおいて語った。
「この決断が何を意味するのか、分かっています。フェラーリを選べば、比較的長くとどまることができ、楽にお金を稼ぐことができます。ドライバーとしてはそれほど苦しい思いをしないで済みますし、(フェラーリにとどまるべき)理由はたくさん見つけることができます」
「でも僕はチャレンジしたいんです。人には『ばかだ』と言われます。僕は今27歳で、今年28歳になります。なのに考え方は子供みたいなんです」
フェラーリに自分の決断を伝えた時、彼らから愚かだと言われたものの、F1は自分の夢であり、復帰するチャンスを逃したくなかったと、可夢偉は述べた。
フェラーリにはどのように自分の決断を伝えたのかと聞かれた可夢偉は「『すみません』と言いました」と答えた。
「とにかくその言葉を言うしかなかった。フェラーリの人たちからは『君はばかだよ』と言われました」
「自分でもばかなのは分かっています。でもこうしなければならなかった。とてもいいオファーだったし、もちろんフェラーリでレースをするのは楽しかった。でも僕はF1でレースをしなければならないんです。それが夢なのだし、これはF1に復帰するための最後のチャンスかもしれない。だからこういう決断を下したんです」