WEC世界耐久選手権のLMP1クラスに参戦しているアウディは28日、2016年仕様の新たな『R18 e-トロン・クワトロ』を発表した。
アウディは今シーズン、ハイブリッドシステムでの1周あたりエネルギー放出量を昨年までの2MJから4MJへと倍増させるとともに、空力や重量面でも大胆にモディファイ。ただ、参戦2年目となったポルシェの後塵を拝する形となり、年間2勝にとどまった。
名称こそ昨年までと同様R18 e-トロン・クワトロとの名称が引き継がれた16年仕様のマシンだが「根本から再設計された」とされており、1周あたりのエネルギー放出量は、今季からさらに増量されて6MJに変更。さらに、エネルギー貯蔵システムに関しても、2012年から採用していた電動フライホイールから変更となり、新たにリチウムイオンバッテリーを搭載することになった。また、フロント部分の造形をはじめとして、外観も大きく変化していることが分かる。
エンジンは、引き続きターボディーゼルエンジンを搭載するとともに、モディファイされたハイブリッドシステムを使用するとしている。ハイブリッドシステムの詳細については明かされていないものの、従来通りフロントに運動エネルギー回生を搭載することになるのではないかと見られている。
アウディのLMP1プログラムを率いるクリストファー・レインケは「6MJへのステップはとても重要なものとなるとともに、我々の手にさらなる武器をもたらすことになる」と話す。
ディーゼルエンジンで6MJのエネルギー放出量を選択することで、エネルギーテーブル上では8MJのガソリンエンジン搭載車と同等の性能になる。ガソリンエンジン勢は、今季はポルシェが8MJ、トヨタ6MJを選択していたが、来季は両社ともに8MJを採用するものと見られている。
この新たなR18 e-トロン・クワトロは、今月初めにポールリカールでテストが行われ、レギュラードライバーを務めるフィリペ・アルバカーキがステアリングを握っている。今後は、12月はじめからアメリカのセブリングで本格的なテストが行われていくという。